俺、小6の時に、公園でいつも本読んでる爺さんと
仲良かったんだよね。しかもその爺さんは
俺によく花をくれた(別に俺好きじゃないけど)
でも学校から帰ったらその公園に行って、
よく爺さんのもとへ遊びに行っていた。
遊ぶと言っても雑談したり、
一緒にお菓子食べたり、そんな感じ。
そんな名前もほぼ知らない爺さんが、
認知症になったみたいで、近所のおばさんとかが
よく噂してた。
「あのお爺さん、嫁さんもいなくて
認知症って…」
「いつか家で一人で死んじゃうわよ…」
「気の毒ね…」
そうたまに聞いていた。
それで等々認知症の爺さんは
俺の名前を忘れたり本格的にボケてきてしまった。
夏の暑い日。ボケながらも公園にいた爺さんに
話しかけると、こんな事を言いだした。
「わしなぁ、ガキの時、人殺したんよ」
「え?」
「よぉ覚えとるわ…なんであんな事
やってしもたんやろなぁ」
爺さんは、そのまま上の空のまま話し出した。
爺さんは、小6ぐらいの夏、
それはもうとんでもない悪ガキだった。
爺さんの昔と言えば昭和ぐらい。
そんな時代に携帯など無く、家で暇を
持て余していた、そんな時爺さんは思いついた。
「そうや、嘘ついて怖がらしたろ!」
近所の女の子に、夕方になると
カエルの化け物が徘徊してる〜とか、
学校の先生に、後ろにいる女は誰なんですか?〜
とか。虚言癖みたいな事をして、
皆が驚くのを爺さんは見ていた。
「ホンマ皆阿呆やわ〜!次誰騙したろ!」
こんな時こそ悪知恵が働くのか、爺さんは、
近所に住む軽度知的障害の男へ悪戯しようとした。
その男は一人暮らしらしい。たまに外に出て
散歩している男を見るので、その時爺さんは
男にこういった。
「なぁなぁ、おっちゃん幽霊に取り憑かれてんで」
「う〜ん…?そうなのぉ?」
男は一応会話はできるみたいで、爺さんは
嘘を吹き込んだ。
「そんでな、その幽霊が毎日死ぬまで
家に花置いてやるぅ〜って言うてるねん!」
「えぇ〜…?!じ、じゃぁどうしたらいいの?」
「さぁ〜?でも幽霊がおっちゃんのこと
殺そうとしてるで!こわぁ〜!w」
「ま、まってよ〜…どうしたらいいのぉ…?」
怖がってしまうその男を置いていって
爺さんは爆笑しながら家に帰った。
「阿呆や!んなわけないのに〜w」
それから毎日、爺さんは火が付いてしまったのか
男の家に花を置くようにした。
幽霊が花を置いて死を待っているぞ〜
と、嘘の証を作って。
そしてまた数日後、それは起きてしまった。
いや、起こしてしまった。
最初の方は、男が回収したのか花は無くなるのだが
最近は花を何個置いても無くならないのだ。
その分花は枯れていって、上に綺麗な花を置く。
そういえば男を見なくなった。なぜだろうか。
「ふん!どーせビビって籠もってるんやろ」
流石に何もリアクションがなかったら
爺さんも花を置くのをやめた。
次は何をしようか考えて学校から家に帰る
「ただいま〜」
「アンタ!」
母が焦った表情で飛び込んできた。
「え、?なに?」
「近所の〇〇さん、死んだらしいで…」
〇〇さん、軽度知的障害のあの男だ
「ふ、ふーん…そうなんや」
「ホンマ怖いで、自殺やって…」
「お、オレ遊びの約束あるから行ってくる」
「気ぃつけや!」
家を飛び出して男の家へ行くと、
警察が周りを囲み、野次馬達が
ヒソヒソと話をしていた。
「〇〇さん、自殺って怖いなぁ…」
「なんか、〇〇さんの家の隣住んでた□□さん、
いつも夜中に騒音被害で悩んでたらしい」
「えぇっ、〇〇さんの家から?」
「そぉ!なんか、幽霊が〜、幽霊が〜って」
「いや〜こわっ!
何であないなこと言い出したんやろね…」
頭が真っ白になる。服の中は汗で濡れていて
必死にその家に背を向け走り去る
「俺悪ないもん…っ!俺のせいやない、
俺のせいやない…!!」
そういうもずっと涙目だった。
ここで爺さんからの話は終わった。
終始俺は驚きで固まっていた。
そんな俺を他所に爺さんはこう言った。
「確かぁ、前どっかのガキに花わたしてん
なんで渡したかわかるかぁ?」
「え、?いやわかんない」
「それはなぁ、」
「花が証拠品になるからやねん」
「え?」
「証拠で残ってると言えば花だけや、やから
そこらの奴に花持たして、身代わりにしたんねん。
そないしたら、俺悪くなくなるやろ?」
爺さんはこの上なく幸せそうに、安堵したように
笑顔で笑っていた。
俺は爺さんに背を向け走って帰った。
それから俺は公園に行っていない。
そして俺は、花がトラウマになった。























お爺さん…
爺さん嘘で人を〇〇したんか、、 無知って罪やな