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心霊

匿名さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

トラウマ
短編 2025/05/01 22:30 2,584view
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トラウマを克服するために、書き出すのも恐ろしかったのですが、勇気を持って投稿しようと思います。

何年も昔の話です。

当時私はマンションに一人暮らしで、いつも通り会社から自宅に帰宅し、お風呂に入り湯船に浸っていました。

それなりに忙しい時期だったこともあり、疲れたなぁ~、休みまであと二日かぁ、なんて考えていたら、お風呂場の明かりが少し暗くなった気がしたんです。

ん?と思って何気なく目線を浴室扉の方にやると、扉の曇った先に人が立っていたんです。
それはもうハッキリと、張りつくように、手をパーにして、私を覗き込んでいました。

こんな悠長に説明を書いていますが、見た当初はその瞬間に大パニックです。悲鳴をあげて湯船をバシャバシャとさせ、体を仰け反ろうとしましたが、浴槽の中なので逃げ場は無く、どうしようもありません。

扉越しの何者かは、驚いた私の様子に動じるでもなく、ゆっくりと後退して行き、脱衣場から出て行ったようで、気配がなくなりましたが、心は恐怖でいっぱいでした。

冒頭に申し上げたとおり、私は一人暮らしだったのです、他に人がいるはずがありません。困惑しながらも、状況を理解しようと努めました。

今のアレは霊だったのか、私に霊感はないし、特に変わった事はしていない、いつも通り生活して、この家に2年も住んで居て何故?

いや、アレは霊じゃなく本当の人間で、だとしたら侵入された?鍵は施錠しているはずだけど、まさか掛け忘れた?スマホはどこ、リビングで充電中だ!どうしよう!

こんな風に頭の中はグッチャグチャです。

恐怖で身動きが取れず、丸裸のまま浴室に閉じ込められてしまいました。

どれくらい経ったでしょうか、既に湯船はぬるくなり始めていたので、そのくらいです。

ずっとこのままでも居られない、気配もないし物音もしない、恐いし嫌だけど、勇気を出して外に出るしかない、

覚悟を決めた私は、扉を開け、素早くタオルを体に巻き付け、猛ダッシュでリビングへ向かい、部屋全体を見回しました。心臓はバクバクです。

部屋は荒らされた様子もなく、いつも通りのままでした。

恐る恐る、玄関や窓の施錠を確認しましたが、鍵はかかったままです。

頭を巡らせた私に、二つの恐怖が猛烈に襲い掛かりました。

一つ目は、ならアレはいったい何だったのか、やはり霊だったのか、見間違え?いいや、あんなにもハッキリと見た。

二つ目は、本当の人間ならば実はまだ何処か、トイレにでも隠れていたらどうしよう。

背筋が凍るとはまさにああいった事を言うのでしょう。髪も体も拭かずに移動した床は濡れていて、もはやその場は心霊スポットと化していました。

逃げ出したい気持ちでいっぱいでしたが、家を出るにも着替えなくてはならない、しかし、怪しいと思ってしまったトイレを確認しなくては、安心して身支度が出来ない、やるしかない…。

ハッと思い浮かび、用心にとキッチンからフライパンを手にし、トイレの前へと立ちました。そして明かりのスイッチをパチンと押して、ドアノブに手を掛けました。

これが恐いのなんのって、扉を明けて本当に何かいたらと思うと、その何かが、もはや霊だろうと人だろうと恐いのですから、全身鳥肌なんです。

私はホラーやサスペンス映画の主人公のように、思いきって扉をバン!と開けました。

便器があるだけでした。

少しホッとして、しかし何も考えないようにしながら、体を拭き、着替え、髪を乾かし、荷物を持って家から脱出しました。

近くのコンビニまで着くと、その明るさに、人々の行き交う姿に安堵し、今度は両親に電話をしました。

両親の声を聞くなり涙が溢れて来て、コンビニの中で人目も知らず号泣してしまいました。

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コメント(1)
  • 怖かったです

    2025/05/12/09:12

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