初めはポタリポタリという水滴の落ちる音と微かな雨音がするだけだった。
それから間もなくすると、それに重なるようにしてから何だろう?人々の呻き声とかヒソヒソ囁く声とかが聞こえてくる。
さらに耳を澄ますと「痛いよお痛いよお」という女の子の泣く声や「苦しい誰か、、誰か助けて」という男や女の請うような声がトンネル内を反響するように聞こえるのが分かった。
心臓が激しく脈打っているのを感じる。
恐怖に耐えきれず俺は、隣に立つ椛島の横顔を見た。
すると彼はすっと出口の方を指差す。
つられてそちらに視線をやった俺の背筋に冷たいものが走った。
出口から射し込む弱い光を背景にして、数人の人影が重なりあうようにして蠢いている。
「だ、、大丈夫ですか!?」
俺がその人たちに向かい声をかけ、そちらに向かい歩こうとした時だ。
椛島が左手を俺の前に差し出すと一言、
「いいんだ」と呟き俺の顔を見た。
どうして?と聞こうとしたちょうどその後だ。
※※※※※※※※※※
オーイ、、、、オーイ、、、
何処からだろう?
誰かが呼ぶ声が聞こえてくる。
その声は少しずつ大きくなってきていて、こちらに近付いてきているようだ。
オーイ、、、オーイ、、、
椛島がクルリと振り返った。
俺も振り返る。
そしてハッと息を飲んだ。
入口からの弱い陽光を背景にして、人が走りながらこちらに近付いてきている。
バシャ、バシャ、バシャ、バシャ、、、
怖ー
コメントありがとうございます
━ねこじろう
怖いけど切ない。良いお話をありがとうございました。