彼の悲痛な叫びなどには一切臆することなく、運転手はアクセルを踏み込んでいく。
スピードメーターの針はジリジリ回りだす。
70キロ、、78キロ、、82キロ、、、
ウィンドウからの景色が猛スピードで後ろへ後ろへと流れていく。
前方の車にあっという間に追い付き追い抜くと、またどんどんスピードを上げて行く。
笹井は運転手の背後に移動すると、シートの背面を叩き泣きながら訴えた。
「頼む、、、
頼むから降ろしてくれえ」
その時だ。
彼は視界の左に奇妙なものを捉えゾクリと背筋が凍りつく。
そこは運転手の隣の助手席。
三角頭巾のケープを纏う黒い人影がうつむき座っていた。
その横顔は白く骸骨のようだ。
スピードメーターの針はすでに時速100キロに届こうとしていた。
運転手は血走った目でただ正面の一点を見つめながら呟く。
「なあに、痛いのは一瞬だけですよ。
安心してください」
ふと笹井がメーター横の時計に視線をやったとたん、彼はハッと息を飲んだ。
1時7分!
すると軋むタイヤの摩擦音を伴い車体は突然右に滑り、笹井は左ドアに叩きつけられる。
その時にはフロントガラスの向こうには大型トラックの前面が間近に迫ってきていた。
そして次の瞬間、
地響きを伴ったクラクションが鳴り響いたかと思うと、室内はパッと強烈な白い光に包まれた。
【了】
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怖すぎる。みちづれは、やめてくれ。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
どういう意味ですか
どうして知ってるの?
迷惑すぎる
コメントありがとうございます─ねこじろう