…ところが、そいつは押し入れの前で急に立ち止まった。と思えば、押し入れの横のベッドの上をガサガサと漁りだした。呆気に取られていると、ヤツは笑って家を出ていった。
その直後、ほぼ同時刻に警察が来た。どうやら親が通報してくれたらしい。彼らが駅前の人たちみたいなことになっていないかと心配したが、無用の心配だった。帰宅中に見た見回りの警官もいた。あまりの安心感に、泣きながら抱きついてしまった。
どうやら警官は、家から走って飛び出したヤツを見ていないらしい。というより、自分だけにしか感じられなかったのかも。財布をパクったことに関しては死ぬほど説教喰らって、3万くらいの罰金を払うハメになった。
家に帰って唖然とした。警官の安心感に気を取られすぎて気が付かなかったが、家中に小石が転がり、壁には引っ掻き傷が無数についていた。そして例の財布はというと、完全に消えていた。もしかしたらヤツが探していたのは私ではなく、財布だったのかもしれない。
あれ以降は特に心霊現象もなく、平和に生きている。もしかしたら、あの財布、特にあの札を身につけていたからこのような体験をしたのかもしれない。
皆さんも街に落ちている財布には気をつけてください。
前のページ
3/3
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 14票























学校の怖い話をつくってください。