【キツネ目で口の端っこに傷】
息子のこの言葉に大島は衝撃を受けた。
そして次の瞬間、彼の脳裏にある男の姿が浮かんだ。
そいつは前年の春先に死刑執行された、連続女児殺人犯のA。
それは平成の中頃の事件だった。
Aは小学生の女児ばかりを三人林の中で殺害する。
その全てが白いタオルを使っての絞殺だった。
そしてその後、間もなくして逮捕される。
口元の傷は三人めを襲った時に負った傷。
大島は長らくこの男の刑事弁護を担当することになる。
Aは当時二十歳だったのだが、その話し方や話す内容はまるで小学生高学年くらいのものだった。
そしていよいよ死刑判決が確定し勾留が決まった日に、接見室でAは怯えた目であの口元を歪ませながら大島にこんなことを言った。
「先生、ぼく、、ぼく、、
すごく怖いんだ。
だってぼく死んじゃうんでしょ?
首を吊られて死ぬんでしょ?
やだよ、、やだよ、、
ぼく、、
まだやりたいことがあるのに、、、
まだこの世界にいたいよおお」
大島はAの身勝手な言葉に愕然とする。
そして改めて気付かされる。
この男には自ら手を掛けた3人の女児に対する後悔や懺悔の気持ちなど一欠片もないのだと、、、
それからAはしばらく涙に暮れた後、突然立ち上がると透明のアクリルボードに白い顔を押し付ける。
そしてその吊り上がった細い目で大島を睨み、あの傷のある口元を歪ませながらこう言った。
その声はさっきと明らかに違う野卑で下品な大人の男の声だ。
「先生よう、
あんた、嘘つきだな」

























なんでだろう、気が狂ってる死刑囚もいるな
宮崎勤かと思ったけど、年齢も刑までの執行機関が違うから別のかな
多分、別の死刑囚ではないかと。
年齢もそうですが、宮崎さんとは
また違った気配ですね。
コメントありがとうございます
─ねこじろう