声をかけようとした瞬間、ドキリとした。
背中に隠れていて気付かなかったのだが、
息子の正面に同じ年頃の女の子がいる。
木陰で大島は息を殺しながら様子を見ていた。
やがて赤いワンピースを着たその子は、木の根元にぐったりと仰向けに横たわった。
━何をしてるんだ?
一気に彼の心拍数は上がりだす。
息子は焦点の定まらない正気を失ったかのような目で辺りをキョロキョロと見回すと、やがて逃げるようにその場を立ち去った。
あの目は明らかにいつもの息子の無邪気なものではなかった。
彼はあの目をかつてどこかで見たような気がする。
女の子は巨木の袂でぐったりとなり、亡くなっていた。
首には白いタオルが曲かれ、青黒いあざがあった。
大島は急いで家に戻りシャベルを取ってくると穴を掘り、その子を埋める。
今から考えると、あの時すぐに警察に通報すべきだったと彼は思う。
だが弁護士という社会的立場の彼は、その後の厄介な事態を避けるために保身に走ったのだ。
弁護士といっても所詮は個人事業主だ。
身内の不祥事は即評判に跳ね返ってくる。
ましてや子供が殺人犯となると、致命的だ。
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その後、
地元では女児失踪事件が話題になる。
失踪した女児というのはやはり、大島の息子が手を掛けた女の子だった。
警察は事件事故の両面から捜査を続けたが全く手掛かりさえ掴めずにいたようだ。
それから秋口にまた、小学生の女児が行方不明になる。
これも年末くらいまで警察により捜査が続くが、結局未だに見つかっていない。
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なんでだろう、気が狂ってる死刑囚もいるな
宮崎勤かと思ったけど、年齢も刑までの執行機関が違うから別のかな
多分、別の死刑囚ではないかと。
年齢もそうですが、宮崎さんとは
また違った気配ですね。
コメントありがとうございます
─ねこじろう