それから車で市街地を抜け山間の道を走り人の通らないような狭い横道に入り、しばらく走って途中草地に車を突っ込み停めた。
そして彼は嫌がる息子を担いでけもの道をしばらく歩くと、鬱蒼とした木立の中にある巨木の下に降ろしてから急いで車まで戻る。
それから再び市街地まで走りレンタカーを返してマイカーで自宅に帰ったときは、すでに19時を過ぎようとしていた。
大島が玄関のドアを開けると、案の定妻が不安げな顔で
「眞吾が帰ってこないのよ」
と言って廊下に突っ立っていた。
彼は妻と一緒に、いるはずのない家や学校の周辺を暗闇の中懸命に探す。
いや探すふりをした。
そしていよいよ警察に電話をしようとした時だ。
突然玄関の呼び鈴が鳴り響く。
妻がドアを開くと、信じられないことに息子の眞吾が立っていた。
テーブルに座りご飯を食べた後も相変わらずぼんやりとしている息子に、妻は懸命に今までどうしていたのかを聞くのだが全く口を開かない。
「ショックでまだ動揺しているんだよ。
今日はそっとしておけよ」
と大島は言いながら心の中では
「いやいや私の方がショックなんだが」と思いながらも息子の気持ちに寄り添うようなことを言うと、妻はようやく尋問を止める。
相変わらず呆けたようにして目の前に座る息子を彼はぼんやり見ながら、
前年のあの忌まわしい日のことを思い出していた。
※※※※※※※※※※
それはまだ大島が家族とともに郊外の一軒家に引っ越して間もない春先のこと。
日曜日の朝方散策も兼ねて、彼は裏山の林の中を歩いていた。
しばらく歩き一息つこうとふと立ち止まると、十㍍ほど先にある木の前に当時五年生だった息子の背中が見える。

























なんでだろう、気が狂ってる死刑囚もいるな
宮崎勤かと思ったけど、年齢も刑までの執行機関が違うから別のかな
多分、別の死刑囚ではないかと。
年齢もそうですが、宮崎さんとは
また違った気配ですね。
コメントありがとうございます
─ねこじろう