「あっ、あぁ、あのぅ・・・ありがとうございます。取れたみたいです」
なんだか整骨院で肩こりが取れたみたいなセリフでしっくりこないが、
除霊師にそうお礼を言った。
「よかったですね。これも心霊に造詣の深い奥様のおかげでしょう。奥様からの電話がもう少し遅かったらあなた、憑り殺されていたかもしれないですからね・・・なんつってw」
(・・・なんかコワイこの人・・・)(;・∀・)
「あぁ、あと、請求はのちほど郵送で送らせていただきます」と事務的なことを言いながら、さらに我が家を眺めながら彼がいぶかしげな表情を見せ、こう言った。
「あの・・・旦那さん、もしかして・・・家にもう一人、霊が憑いてやしませんか?
ほら、あの窓の所に・・・」
ボクは慌てた。
「あーーわーー、あ、アレ、あれがウチのヨメさんです。ちょっとホラ、心霊っぽい顔とかよく言われるんですよ! あはは」
「そうですか? いやでもこの霊力は・・・」
「いやもうホント大丈夫ですから、今日はありがとうございました!」
ボクはむりやりその除霊師を体で押しながら帰ってもらった。
除霊師もなんだか納得いかないものの、しぶしぶ帰って行った。
「ふぅ・・・危ないところだった」
いや、何が危ないところなのだろう。マリーさんが除霊されるのが嫌だった?
そんなバカな。どこの世界に幽霊が住み着いているのを喜んでるやつがいると言うのか。
いや、でも・・・。自問自答してみるが、自分はこの家が好きだし、どうやらマリーさんのことも実は気に入っているのかもしれない。
その日の深夜、ふと気が付いて目を覚ますと、また枕元にマリーさんが立っていた。
ボクは寝ぼけながらも問いただした。
「あの変な除霊師を呼んだの、マリーさんですよね。ボクのヨメさんのフリして・・・」
するとマリーさんもこちらの顔を覗き込みながら
「フフ・・・ウチの嫁さんだって・・・フフ」
なんだかニヤケながら、そう言ってマリーさんは消えていった。
「あっ、ありがとうございます。マリーさん!」
自分が消されるリスクもあったのに、除霊師を呼んでくれたマリーさんに感謝した。
・・・それから数日後、除霊師から25万円の請求書が届いた・・・。
背筋がぞっとした。
「・・・マリーさーーーーーん!!」( ;∀;)
kanaです。
この作品は2022年の春頃に書いたマリーさんシリーズの4編をまとめて、加筆修正してまとめた完全版として書き上げたものです。長編18ページとなりましたが、面白く読めると思いますので、ぜひお読みください。後半に出てくるニンニンこと、除霊師・忍足 忍(オシダリ シノブ)は、朽屋瑠子シリーズの「赤騎士事件」にも朽屋の同僚として登場する除霊師です。スピンオフ参加です。お楽しみください。
読んでいる途中で感情移入をしたようで、涙が止まりませんでした。
良い話や
すごい感動しました👏
最高です!
※勲章授与のシーンで脱字がありましたので修正しました。
kanaです。
劇中歌として『ホームにて』と『時はながれて』をマリーさんが歌っていますので、
よろしければそれを聞きながら読んでいただくと、臨場感も湧くと思います。
ちなみに、検索をかけると『時はながれて』と同名のタイトルの楽曲を複数の方が歌われているようで、もしかしたら違う曲を聴く可能性もありますが(笑)、マリーさんが歌っているのはあくまでも「某有名女性フォークシンガー」が歌われている曲です。失恋の歌が多い方ですよね。
では、お楽しみください。
↑↑感動したというコメントをいただいて大変ありがたいです。あと、怖くないのにこわいねボタン押してくださる方、ありがとうございます。
みなさんはどのシーンでほろりと来ましたか?
怖いの苦手な方も、ぜひお楽しみください。
さすがです。
本を買ってみたい