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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

捜索
長編 2025/02/13 00:22 122view

私が30歳頃の話。
以前勤めていた会社には寮があり、就職が決まってから引っ越しをして、新しい環境に不安と楽しみに胸を躍らせていた。

新しい仕事にも徐々に慣れて、会社の先輩や後輩もでき、徐々に生活に慣れていき楽しんでいた。そんなある日、会社に同期入社した友人を3人ほど部屋に招いていた。
「相変わらず、部屋は整理されてるな」
「確かに!こいつのデスクだけはすげー片付いてるし」
たわいもない会話をしながら、友人達との時間を楽しんだ。
友人達が帰る準備をしてる時、ある1人が、
「なぁ、この部屋、ネズミとか出ないよな?」
「ネズミ?出るわけねーだろ!ゴミ屋敷じゃあるまいし!」
「そうだよな…」
「どうして?何か気になったのか?」
と尋ねると友人は首を傾げながら
「いや!天井から一瞬、ズズって音がしたからさ。気のせいかもしれない!」
全員、呑んでいて記憶が曖昧だったのでその時は気のせいということになり、特にその後も気にもしていなかった。

しばらくして、仕事も慣れてきて徐々に任される事が多くなり忙しい日々を送るようになり、

仕事から帰ってきたら簡単に夕飯を食べ、お風呂に入り、寝るか布団の中で少しスマホをいじるかという生活リズムが続いていた。

そんなある日、いつものように仕事を終え、帰宅すると突然疲れが一気に押し寄せたのですぐに寝ることにし、
「最近、忙しかったからな。明日は休みだし、ゆっくり寝てよう。」
そう思いながら布団に入るとすぐに眠りについていた。
夜中に目が覚め、時間を確認すると午前3時過ぎ。すぐにまた眠ろうと目を閉じた瞬間に金縛りにあった。
「夢?体が動かない…もしかして、金縛り?」
初めて金縛りになり、少しだけ恐怖感を感じつつ、体を動かそうとするがうごかない。
「金縛りだ……疲れてるとなりやすいって聞いたことあるな…最近、忙しかったからかな。」
少しすれば解放されるだろうと思い、無駄な抵抗はしないことにした。
体は動かないが瞼を開けて、目を動かすことはできた。
「よかったー…目を開けると近くに霊がいるとかよく聞くし…」
目で見れる範囲を確認し、特に異常がないことに安堵した私は再び目を閉じ、あわよくばそのまま眠ろうとしていた。その瞬間、
ズズ…ズズ…
と天井から聞こえてきた。
何か重いものを引っ張っているような音。

「ん?何の音だ…?そういえば前にあいつ(友人)何か言ってたな。この音か。」
以前、友人から言われたことを思い出したので、瞼を開け天井を見た瞬間、私は凍りついた。
「なんだあれ?手?」
天井から無数の手が伸びていた。
その手は色は白く、指は小刻みに動いている。
自分が見ている異様な光景に恐怖と絶望感が一気に押し寄せてきた。
「なんだよ、これ…ヤバい…ヤバい…。」
焦る気持ちとは裏腹に身体は動かない。
すると一本の手が伸びてきて、今にも私の顔に触れそうな距離まで近づいてきた。
爪は今にも剥がれそうで、皮膚はガサガサし、血が通っていないよな白さ。手の詳細がわかるくらい近づいて指だけが微かに動いている。
私は目を閉じ、
「夢であってくれ!夢であってくれ!」
「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」
と強く思いながら、目を開けた。
しかし、微かな希望は打ち砕かれ、目の前の絶望的な状況に変わりはなかった。
突然、目の前の手が伸びてきて右側の頬に触れた。見た目通り、手は冷たく、皮膚に弾力はなくガサガサしている。
手はゆっくりと動き始め、頬から首、肩、腕、腰、足と流れるように移動した。

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