支那からのアンティーク電話
投稿者:ねこじろう (157)
長編
2025/02/04
06:14
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じいちゃんの突然の逝去で、しばらく家族には暗い空気が漂っていた。
特にじいちゃんの息子である父と、
生前よく可愛がってもらっていた弟の落ち込み具合は酷く、父に至ってはしばらく仕事にも行かず家で酒ばかり飲んでいた。
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それから俺が中学に上がった頃のこと。
その日部活を終え夕方家に帰った俺は、両親が帰宅するまで弟と二人、留守番をしていた。
そして仏間の座卓で向かい合い宿題をやっている時だった。
突然弟が顔を上げてから俺の顔を見る。
「どうした?」と尋ねると、弟は真顔でこう言った。
「今、じいちゃんの声がした」
「空耳だろ」
俺はそっけなく言い放つと、また宿題に向かう。
しばらくするとまた弟が顔を上げ、ある方を凝視している。
「どうした?」と尋ねると、「あそこでじいちゃんが笑ってる」と真顔でボソリと呟いた。
ゾッとした俺は恐々と、そっちに視線をやる。
そこは開け放たれた障子の向こう。
だが薄暗い廊下が見えるだけだ。
「バカ、脅かすなよ、誰もいないじゃないか!」
俺は恐怖を振り払うかのように弟に言い放つと、また目の前の問題集に集中しだした。
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