スナックの女
投稿者:かず (1)
長編
2025/02/03
20:20
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「ママ、自分を責めないで。あたし今でも、このお店が大好きなの」
ママが顔を上げると、女性の姿は消えた。
俺はやっと気づいた。あの女性はママやお客さんのことをずっと心配してたんだ。
そして亡くなったお客さんが自分のように長いこと発見されず、悲しい思いをしなくて済むように、もうすぐ亡くなる客の名前を告げていたのだろう。
それから、女性の霊は二度と店に現れなかった。
しかし、店を辞めて長い年月が経ち、俺もすっかりおじさんになった頃、一度だけ夢に出てきた。
「ママに、ありがとうって伝えて」
女性の霊はそう言って消えてしまった。
ちょうどその日、ママは老衰でこの世を去った。大往生だった。
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