自分は1人だった
投稿者:八尺マン (49)
長編
2025/01/28
23:20
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まさか、あれは幽霊のようなものだったのではないか
そんなことを考え始めた時だった
テレビで何十年も前に失踪した男が発見されたというニュースが流れた
その男は俺の住んでいる街の隣町の廃家で見つかった
その発見された男の写真が出てきた瞬間、俺はあっと声を出してしまった
こいつだ
俺の旧友を名乗り、俺の前に現れたのは
だが、やはり男は友達なんかじゃなかった
赤の他人だ
身も知らずの男を俺は友達だと思い込んだのだ
「なあ!こっちにきてくれ! 俺を家まで運んだ男がテレビに出ている!」
俺は家にいるはずの妻に呼びかけたが返事がない
出かけているのか
ニュースによると、その男は25年前に突如失踪した男で、当時高校生だったという
両親にちょっと出かけてくるといって、それきり行方がわからなくなったらしい
彼は廃家で白骨化していたという
死後10年は経っているという話だった
つまりは、半年前に会ったのはやはり幽霊だったのだ
ずっと廃家に誰にも見つけられずにいて、見つけて欲しくて俺に近づいてきたのだろうか
わざわざ俺に自分が友達と思い込ませて
いい迷惑だ
俺には友人はいない
孤独な男だ
そんな俺に友人がいるという幻想を見させたのだ
なんて奴だ
いや、もうそれはいい
それより・・
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