「ボートに引き上げろ! バイタルチェック!」
朽屋の動かない身体がズルズルとボートに引き上げられる。
「状況、どうだ!?」
「ダメだ、呼吸も、心音も止まってる。体も冷たくなってるぜ」
「どけ、まだだ、まだあきらめるな!心臓マッサージだ」スティングレイはなんとしても朽屋を助けたいと願った。
「医務室を開けろと連絡してくれ」
スティングレイはカウントを数えながら力強く、心臓マッサージを加えた。
次いで人工呼吸。
「チーフ・クチヤのフルネームって誰か知ってるか?」
「なぜだ」
「人の意識が最後まで残っているのは耳なんだ。だから呼べば戻ってくるって聞いた!」
「ルコ・クチヤ・・・クチヤ・ルコだ。変わった名前だな」
その名を復唱して、スティングレイは尚も心臓マッサージを続ける。
「戻ってこい!クッチャルコ!! 戻れ!こっち側に戻ってこいクッチャルコ!!」
そうして心臓マッサージをし、人工呼吸をしている最中に、朽屋の目が開いた。
「オイ、意識が戻ったぞ!! 奇跡だ」
朽屋は自発呼吸を取り戻し、うつろな目でスティングレイの顔を見つめた。
「ねぇ・・・なんで・・・キス・・・してるの?」
スティングレイは思わず喜びの雄たけびを上げた。
「イヤッホー!! 神様ありがとう!クッチャルコが戻ってきたぞ!!」
「ワ・タ・シ・・・くーちーや・るこ・・・です・・・クッチャルコでは・・・」
ボートが歓声に包まれた。
「急げ、体温が低いままだ。慎重に医務室まで運ぶんだ!!」
作戦は終了した。
・・・数日後。
絶対安静状態を脱した朽屋のところに、スティングレイはお見舞いに行った。
「ええ~~~!?自分でやった?? どーゆーことですか?」と驚くスティングレイの声。
朽屋が説明している。「だからね、バイオフィードバックって言ってね、自分の意志で呼吸数と心拍数を下げて、体温も下げて、冬眠状態っていうか、極力エネルギーを消費しないようにしてたんよ。あとは米軍が探してくれるやろ~と思って」























kanaです。久しぶりの「朽屋瑠子」シリーズです。
このシリーズはあちこちにいろんなオマージュやらなんやら、過去作でも詳しく説明してないけど
知ってる人なら「あぁ、あれか?」と思うようなネタを散りばめていますので
そんなところもお楽しみください。
ちなみに、毎回出て来て朽屋に「ユー、〇〇へ、トベ!!」とだけ言って去っていく米兵のセリフは
「王立宇宙軍-オネアミス-の翼」で主人公のシロツグに対して「あ~~、なんて・・・そうだ、飛べ!!」とイキナリ突拍子もないことを言ってくる将軍をオマージュしています。
是非とも、ムー本誌に書いて送って欲しい!
大昔、漫画を書いてムーに送ってた人が、本誌に取り上げられたこともあるし、ルコも取り上げて貰って欲しい!
読み物として毎回楽しく拝見してます
朽屋さん、やってますねぇコレは。
待ってました!
クッチャルコさん首を長くして待ってました〜wこれからもどんどんお願いします♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪僕の中では今1番の最高の小説です!!
↑うれしいコメントの数々ありがとうございます。
自分で書いてて一番楽しい、それが朽屋瑠子シリーズw
怪談としてはどーよ、って話もありそうですが、今回は都市伝説ですから!!!
話によってジャンルも買えてます。
それにしてもですよ、1月19日に書いたコメントが公開されたのが1月28日って、
運営様、もう少しなんとかなりませんかね?
この前このシリーズ一気読みしましたけどめちゃくちゃ面白かったです!!
これからも期待してます(^ ^)
kanaです。↑コメントありがとうございます。一気読みしていただいて最高にうれしいです。
楽しんでいただいてよかったです。
これは公式に作品化していくべきレベルだと思う。
小説出てます?