寝起きに鎖の顔を見るとなんだか死んであの世で目覚めたような気分になるなと思いながら言葉を返した。
「なんだよ鎖ぃ…夜這いかぁ?」
「石投げるわよ」
「バッチリ目が醒めたぜ」と慌てて上体を起こす。
それにしても朝起こしてくれるなんてどんな風の吹き回しだと思いながら時間を確認する。
時刻はまだ深夜3時ほどだった。
「んぇあ?まだ寝れんじゃん」とボヤいていると鎖は窓の外を指さしながら呟いた。
「見なさい…羽化するわよ」
羽化?
ハッとした。
羽化ってまさか。
俺はベッドから跳ね起きると慌てて窓へ駆け寄った。
動いてる。
繭が。
昨日は微動だにしなかった繭が今はモゾモゾとその白い糸の海を波立たせるように妖しく蠢いている。
昨日1晩中観察したので明らかにこれは様子がおかしい事が俺にも分かった。
鎖は言った、ダイダラボッチが伝承通りの人の形をした巨人だとでも思っているのか?と。
なら何が出てくるって言うんだ。
本当にモスラでも飛び出して来るんじゃないだろうな。
ふとビルの下、円形に大理石の長椅子が配置された噴水広場。
そこに7〜8人ほど人が集まっているのが見えた。
皆一様に上を見上げては指をさしたり何か話し合ったりしている。
恐らくだが俺や鎖と同じようにアレの存在に気づきそしてこの事態を観察しに来た見える側の人間という事だけは分かった。
そんな事を思っていると隣で同じように窓の外を見ていた鎖が「思ったより早かったわね」と呟いた。
「なにが?」と思って視線を戻すと。
繭が、開き始めていた。

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?