繭に亀裂が入りそこからグイグイと何かの背中が姿を表した。
繭は形を崩壊させボロボロと破片がビルの下へ落ちて行き、それらは粒子のように消えていく。
本格的に繭の中のソレが姿を表した。
それは白い昆虫のような姿をしていた。
2本の長い触覚が天に向かって伸び、背中には薄い羽、腕はギザギザのヘラのようだった。
6本足でビルの側面に張り付き、尻の方からまた2本の触手みたいなのが地面に向かって伸びている。
それは羽化したての蝶が体を乾かすかのように、特に飛び立つ訳でも無く相変わらず壁に張り付いている。
なんか、この虫見た事ある、そう思った。
必死に脳内辞書に検索をかける、それは果たして見つかった。
オケラだ。
それはオケラにそっくりだった。
オケラとは、泳ぐ、走る、跳ねる、飛ぶ、鳴く、穴を掘るどれもこなせるが、一流にはなれない様から『オケラの七つ芸』という言葉を生んでしまうほどに手数の多い虫であり。
その中で最も得意とする権能は地面を掘る事にある。
2本の特徴的な前足は地面を掘ることに特化しており普段は地中の中で過ごして地中のミミズや虫を捕食して生活している。
だが、なぜ目の前のソレがオケラに似ているのか、それだけが分からなかった。
「ダイダラボッチが残した伝説を知ってる?」
鎖が横から視線はこちらに向けずに問いかけてくる。
ダイダラボッチが残した伝説。
「たしか、日本の山や湖を作ったとされてて、一説ではダイダラボッチが富士山を作るために土を掘った後があの琵琶湖になったって」
そこまで言って自分の口に手を当てた。
まさか、そういう事なのか。























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?