「いいえ、少し違うわね」
「え?」
「ダイダラボッチ、これはその幼体よ」
幼体?
幼体ってのはつまり。
目の前でしきりに星のカービーのように霊道そのものを一心不乱に吸い込み続け、食事に没頭する口を見ながら呟いた。
「まだ、成長途中なのか……こいつ」
その言葉を聞いて鎖が「貴方にアレの正体はなんだと思うって私は聞いて、貴方はカブトムシって答えたわね」と言いながら部屋の中へ歩いていく。
「お、おい!近づいていいのかよ!!」という俺の声を無視して鎖は続けた。
彼女の腕に巻かれている鎖はバチバチと放電現象でも起こしているかのように激しい金属音を響かせている。
きっと本人は気づいていない。
まるで母親が腕に抱く赤子を触らせてもらっているかのように鎖は窓ガラス越しにその怪物を撫でた。
「はっきり言って、私はかなり言い得て妙だと思ったわ……あなたの回答」
「な、何が言いたいんだ?」
「ふふっ」と笑う。
この子ったらこういう時にしか笑わないんだからと謎のおばさん口調を頭で浮かべていると鎖が窓の外を見ながら言った。
「樹液を吸うカブトムシみたいよね…これ」
「お、お前なぁ」と嘆息しながら心配なので鎖に近づき腕を掴む。
離れる気は無いらしいのでせめてやばくなったら引っ張って連れ出そうと思ったからだ。
そんな俺の心配をよそに鎖は俺とマンツーマンで目の前のオカルト現象に対し講義を続ける。
こうなった鎖はほとんど周りが見えてない。
「この子はね…これから羽化をするために栄養が必要なの…だからこうして大きな霊道を探して、いつの間にかキャベツに付いていた青虫みたいに、栄養を蓄えるの、そして、立派な羽を作るの」

























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?