「は!?なんでここにいんだよお前!!」
「なんでって、調査に決まってるじゃない」
よく見ると確かに鎖の前には双眼鏡やら望遠鏡やらがズラリと並べられ、鎖の手元にはメモ帳のような物が握られていた。
なるほど、この数日学校を休んでいたのはここに泊まってあの霊の調査をしていたからか。
その時俺はある事実に気づきかけた、というか気づきたくないのが本音だが聞かずには居られなかった。
「お前……いつからここに泊まってるんだ」
「ん?…そうね……チェックインしたのはあなたの話を聞いた翌日よ」
なん、だと。
という事はこの女。
既にこのスイートルームを9日間も連泊しているという事か。
確かこの部屋の1泊の値段が10。
そこから先はもう考えたくなかった。
脳内で赤木リツコ先生がガラスカバーを叩き割りながら緊急停止ボタンを連打している、思考回路は凍結用L.C.Lで満たされた。
「お、お前、ちゃんと宿泊費用払えるんだろうな!?」
「あら、こんな駅近である事くらいしか取り柄のないビジネスホテルで何泊しようと、私の財産に傷は付けられないわ」
くそ、この金持ちめ。
鎖は既に両親を失っており、その歳にして両親の遺産を全て一身に相続しているのだが。
それが莫大だかなんだかで、とにかくこいつの金銭感覚はとち狂っているのだ。
たかだか幽霊観察のためにホテル最上階の一室を漫画喫茶感覚で借りてしまっているこの現状こそが、その金銭感覚の突貫工事具合を物語っている。
「それにしても、このホテルはダメね。スイートルームが聞いて呆れるわ」
「お、お前…あんま迷惑掛ける使い方すんなよ、先輩達みんな困ってたぞ」
「あら、私は客よ。当然の権利だわ」























けっこうこわかったです。
さすがに44Pもあると途中で挫折しました。
ぜひ今度5Pくらいの短縮版を書いてください。
怖くはない。だが悪くはない。
しんれいかいきみすてりーふうの、とあるぼうけんたん、ちょうへん。
主人公が俺っ娘だとは、ある一節まできがつかなかった 。
いつも空いている席の正体に続く、二作品目読ませていただきました。ジャンルとしては、心霊というより田舎・伝承系でしょうか。
師匠シリーズ、なつのさんシリーズのように登場人物に統一性があり、続編小説を読んでいるようでとても面白いし、なるほど、と思える話でした。次の話も楽しみにしています。
一作品目の話と、こちらの話は、朗読させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
俺は高2なのに1コ上の石野さん大学生なんです?