早朝になり母さんがゴミ出しに行くと言って外へ出てしまったので慌てて俺も着いていった。
俺の不安をよそに家の外にあの女は居なかった。
どうやら、やっこさんはとりあえず一旦攻撃の手を止めてくれたらしい。
母さんに「今日は学校休んどく?」と聞かれたが俺はかぶりを振った。
もう俺をからかうための冗談だとは思うまい、この事態を解決してくれそうな人物はアイツしかいないと、俺の中には謎の納得感があったからだ。
俺は制服に着替えると台所で普段料理に使っている塩を袋に詰め込んで、それをリュックへしまった。
あんまり意味があるとは思えないが、無いよりはましというものだ。
俺はいつもより1時間も早くバス停へ並んだ、しかしバスが来る度にそれを見送り続ける。
目当てはバスじゃないからだ。
何度目かのバスを見送ったかという辺りでやっと目当ての女が現れた。
コツコツとローファーが地面を弾く音とそれに紛れて隠し味のように金属の擦れる音が聞こえる。
来た。
俺がいつも通学する時間より30分も早いじゃないか、それなら確かに普段は被らない、一体そんなに早く学校へ行って何をしているというのか。
その女は俺の顔を見るなり今までで1番嫌そうな顔をした。
なにかを察したらしい。
「ご愁傷さま」
その一言を発すると鎖は昨日よりさらに2mほど遠く間隔を開けて俺の後ろに並んだ。
もはや並んでると言えるのだろうか。
周辺に突っ立ってる人ではないのか。
「な、なぁ……鎖……助けてく」
「嫌よ」
言い切る前に断られた。
判断は早い方らしい。
まぁきっと、いつもは居ないはずの俺がこうしてバス停でスタンバって居た時点でその手の懇願をされる事くらいは察しがついていたのだろう。
速攻断られたことに少しションボリしていると鎖から話してきた。























えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?