「お客さん…お客さん?」
体を揺すられ目を覚ます。
目の前にはバスの運転手がいた。
「お客さん……終点ですよ」
ハッとして窓の外を見る。
すっかり夕日は落ち夜の帳が降りている。
全く知らない工場らしき建物に囲まれた場所にバスは停車していた。
そういえば帰りのバスでは車内アナウンスで工業団地行きと何度も聞いた覚えがあった。
まさかここが?
しまった、すっかり寝過ごしてしまった。
やはり帰りのバスでは寝るもんじゃない。
「もうお客さんしか乗ってませんよ」
あーそっかと思いながら車内を見渡す。
しかし運転手さんの言葉とは裏腹に俺より前の方の席に1人だけ女性が座っているのが見えた。
「あれ……あの人は?」
「あの人?」
運転手さんは俺が指さす方を見る、しかし直ぐに向き直って少し呆れたような顔で「寝ぼけてるのかい?」と流されてしまった。
「もう君しか乗ってないよ」
「え、いやでもあそこに……」
そこまで言って自分の指さしている座席の位置をみて全身の毛穴がキュッッと硬直した。
この話は怖かったですか?
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えっ、最後びっくりした
「床に落ちた何か」てなんだったの?