東風吹かば毒の雨
投稿者:セイスケくん (31)
短編
2024/11/25
08:28
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毒の雨と東風の呪い――これらは一見すれば単なる迷信のように思える。
しかし、どこかで確かな現実が絡みついているような気がしてならなかった。
科学は一部を解き明かすことには成功したが、それでもすべてを説明しきれてはいない。
人間は自然を支配できると考えることが傲慢なのかもしれない。
村人たちは、長い年月にわたって「神の怒り」や「呪い」として恐れてきた現象が、実は自然の複雑な仕組みの一部に過ぎないことを理解しつつある。
しかし、それでもなお、彼らの恐怖は消え去ることはなかった。
その夜、漁師が海岸を歩いていたときのことだ。
強い東風が吹き荒れる中で、突然、耳を疑うようなささやき声を聞いたという。
人間の声ではない。
その声は風とともに消えたが、漁師は確かにそれを聞いたと言う。
「あれは一体何だったんだろう?」と語る漁師。
しかし、その答えを知る者は誰もいない。
あれが一体何だったのかは、永遠にわからぬままだろう。
次にクロバエの風や東風が吹いたとき、人々はどうすべきなのだろう。
今となっては、それを知る方法は誰にもわからない。
私たちは、ただ自然の力に対して謙虚に、尊敬の念を抱くしかないのかもしれない。
どれだけ科学が進んでも、自然のすべてを理解することは決してできないのだろう。
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