湖畔のキャンプ場の怪異
投稿者:セイスケくん (20)
短編
2024/11/16
10:27
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岸にたどり着くと、そこには呆然と立ち尽くす裕也の姿があった。
彼は濡れた服のまま、無表情でこちらを見ていた。
「裕也、大丈夫か?」智也が駆け寄ると、彼はゆっくりと口を開いた。
「聞こえるんだ…彼らの声が…ずっと…」
その目は赤く充血し、焦点が合っていなかった。僕たちは恐怖と混乱の中で彼を連れてキャンプ場を後にした。
その後
都市に戻った僕たちは、それぞれ日常に戻ろうとしたが、心には深い傷が残った。裕也は大学を休学し、家に閉じこもるようになった。彼は時折、「彼らが呼んでいる」と呟くという。
地元では、あの湖での怪異が噂となり広まっていった。
キャンプ場は閉鎖され、村人たちは決して湖に近づかなくなった。
伝説は現実となり、生者と死者の境界が崩れた場所として語り継がれるようになった。
僕たちは今でも夜になると、あの囁き声が聞こえる気がする。湖底に沈んだ渡し守と乗客たちが、今も誰かを待ち続けているのだろう。
そして、恐怖は終わらない。眠れぬ夜、心の奥底で囁く声が、僕たちを再びあの湖へと誘おうとしているのだから……
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