懲りない3人のストーカー
投稿者:ねこじろう (144)
おかしな具合というのは頭頂部だけがきれいさっぱり頭髪がなく、まるでカッパのような禿げ方なのである。
初めて会ったとき、私は頭に目がいかないようにするのに大変だった。
私が住んでいる一軒家の裏手にある大きな屋敷に一人で暮らしており、特にこれといった仕事をしているような感じではないのだが、町内会の会長であり、町内の様々な行事とかボランティアとかを積極的にやられているようだ。
「何かご不便とかはありませんかね?」
大家は家賃の入った茶封筒を受け取りながら、上目遣いでギョロリと私の顔を見た。
本当のところいくつかはあるのだが、私は「ありません」と言った。
「女性の独り暮らしは物騒なものですから、くれぐれも用心して下さい。
特にこの季節空き巣も多いですから、戸締まりもしっかりして下さいね」
そう言って大家はもう一度私の顔を見ると、また「ハ、ハ、ハ、ハ、ハ……」と何がおかしいのか、また可笑しそうに笑った。
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本当を言うと最近家の中でおかしなことが起こっていた。
いや正確にいうと、今年の1月くらいからだ。
初めのうちは具体的にどうこうということではなかった。
誰もいないはずの部屋に人の気配がしたり、ふとしたときにぞくっとするような誰かの視線を感じたりと、ほとんどが心理的なものだった。
それがだんだんと目に見えるようなことになってきた。
朝方テーブルに広げていた雑誌が、夜仕事から帰ってきたら、きちんと片付けられていたり、一つだけ洗い忘れていた湯呑みが洗われてシンクに置かれていたり……。
─夫が家のどこかにいるのでは……。
私はそんな変なことを思ったりもした。
そう思ったのには理由がある。
私は畳部屋にフトンを敷いて寝るのだが、寂しさから夫が寝ていたフトンを並べて寝ている。
ある日朝起きてふと隣を見ると、さっきまで誰かが寝ていたかのようにシーツが乱れており、触ると少し温かい。
さらに驚いたのは、枕から夫の使っていたヘアートニックの香りがするのだ。
枕カバーはもちろん、きれいに洗濯している。
すぐ洗面所に行き鏡の横にある棚を確認した。
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