「で…け ば…た」
投稿者:ねこじろう (143)
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その正に直後のことだ。
黒板を爪で搔きむしるようなブレーキ音が店内に鳴り響いたかと思うと、ガシャンという強烈な破壊音が続いた。
一瞬でどよめく店内。
何事かと立ち上がり入口ドアへと走る数人の客に混じり、私も喫茶店の外に出てみる。
そして視界には凄惨な光景が飛び込んできた。
どうやら一台の車が店舗前の歩道沿いのブロック塀に突っ込み大破しているようだ。
歩道のアスファルトにはさっき愛美が持っていたブランドもののバッグが落ちていて、中に入っていた化粧道具やティッシュとかがあちこち散らばっていた。
ーまさか、、愛、、美?
私は嫌な予感を抱きながらも大破した車に目をやる。
そして一瞬で背筋が凍った。
原型を留めぬくらいに壊れた車前部とブロック塀との間に愛美は首から下が挟まっており、ぐったりとなっている。
頭の中が真っ白になりながらも私は見物人を押しのけ、血を吐きながら朦朧とする愛美の傍らまで行き、何度も何度も彼女に声をかけていた。
すると唐突に背後から聞こえる女の呻き声。
驚いて振り向くと、フロントガラスを突き破りボンネットにうつ伏せになっている運転手の女がうわごとのように何かを呟いている。
私は金縛りになったかのように固まったまま、
呆然と女を見ていた。
すると突然女はムクリと顔だけをこちらに向ける。
「ひ!」
一瞬で全身が総毛立った。
女は血で真っ赤に染まった顔で両目を大きく見開き、ひたすら同じ言葉を繰り返している。
まるで機械の人形が口だけを動かすように、、
「出てけ売女、、
出てけ売女、、
毎回、楽しみにしてます。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
面白かったです。 次回も楽しみに待ってます。