「で…け　ば…た」

その日はその豆電球の灯りが気になり、なかなか寝つけずにいたのだが、ようやく半時間程してうとうとしだした時だった。

ｶﾘｶﾘｶﾘｶﾘ、、、

「で…け　ば…た」、、、

ｶﾘｶﾘｶﾘｶﾘ、、、

「で…」

どこからだろう、

またあの何かを引っ掻くような音とともにぶつぶつと呟くような声がするので、わたしはふと半身を起こすと、その音の出所を探してみた。

そしてその間にようやく私分かったの、言葉が」

「なんだったの？」

「デテケ　バイタ」

「デテケ　バイタ？それって、、、」

「うん、バイタというのは多分、女のことを言ってるんだと思う。

これって私に言ってるの？と思うと、ゾッとしてね。

でねそれからようやく音の出どころが分かったんだ。

そこは天井の片隅。

ちょうど仏壇の上辺りなんだけど、なぜか羽目板一枚分ほど穴が空いててね。

それでそこをじっと見てると、ぞくりと背中に冷たいものが走った。

奥の暗がりに白く細い手が動いてるのが見えるんだ。

よく見るとその全ての爪はほとんど剥がれていて指先から赤い血が滴り落ちていた。

しばらくすると暗がりから長い黒髪を垂らした女の白い顔がヌッと現れてきたんだ。