黒い犬の呪い
投稿者:ほらりん (21)
昔々、山深い村に「黒い犬の呪い」と呼ばれる恐ろしい伝説がありました。村人たちは、その犬を「黒犬」と呼び、夜になると決して外に出ないようにしていました。
ある晩、若い女性の美咲は、病気の母親のために薬を取りに行く必要がありました。村の薬師は山の向こうに住んでおり、夜道を通らなければなりませんでした。美咲は恐怖を感じながらも、母親のために勇気を振り絞って出発しました。
山道を歩いていると、突然、霧が立ち込め、視界が悪くなりました。その時、美咲の前に巨大な黒い犬が現れました。犬の目は赤く光り、口からは鋭い牙が覗いていました。美咲は恐怖で動けなくなりましたが、犬は彼女に近づくと、低い声で囁きました。
「この山を越える者は、命を捧げなければならない。」
美咲は震えながらも、「母を助けるためにどうしても薬が必要なのです」と訴えました。黒犬はしばらく考えた後、「ならば、あなたの命を代わりに捧げることを誓うなら、通してやろう」と言いました。
美咲は涙を流しながらも、母親のためにその条件を受け入れました。黒犬は満足そうにうなずき、道を開けました。美咲は急いで薬を取り、母親の元に戻りました。母親は薬のおかげで回復しましたが、美咲はその夜から姿を消しました。
村人たちは、美咲が黒犬に命を捧げたことを知り、彼女の勇気を称えました。それ以来、村では黒犬の姿を見た者は、必ず何かを捧げなければならないという伝説が語り継がれています。
日本昔話的な