あなたまで
投稿者:急に坊主にするタイプの女 (4)
短編
2024/09/07
23:11
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子どもは黒く、カピカピに渇いていて、
まるでスルメイカのようだった。
周囲には10匹ほどの小虫が、慌ただしくうごめいている。
「弘志…これ……」
「な…なんなんだよ……」
呆然と立ち尽くす僕たち。
ふと顔を上げると、
すぐ目の前に女がいた。
そして女は、かすれた声で、こう言った。
「あなたまで…私の子を奪うの…?」
「ぎゃーーーー!!!」
ぬいぐるみを投げ捨て、僕たちは一心不乱に走って逃げた。
この日以来、その女に会うことはなかった。
しかし今でも、その干からびた子どもと女の姿は
目に焼き付いている。
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面白いですね
せつないなぁ…
とりはだが立ちました
ひどいな