得意げに笑う純とは裏腹に、
僕はさすがにまずいんじゃないかと思った。
いくら痩せた女とはいえ、怒ったら怖い人かもしれない。
しかし女は、その場で固まったまま動かない。
どこまでも不気味な女だ。
「このぬいぐるみもくせ〜!
こいつが異臭の原因か!?」
クマの耳をつまんで持ちながら、匂いを嗅いでいる。
「弘志も嗅いでみろよ、ほれ!」
僕にぬいぐるみを投げてきた。
「うおっ!なんだよ投げんなよ…
……
………ん?」
投げたはずみでかはわからないが、
ぬいぐるみの背中の縫い目が大きくほつれていた。
そしてそこから、中の様子が少しだけ見えた。
「おい純、中になんか入ってるぞ…」
純が覗き込みにくる。
「あずきじゃね?ばあちゃんがお手玉に入れてたぞ」
いや、あずきじゃない。
手触り的に、なにかゴロゴロしたものが入っている。
「ちょっと貸せ!」
純がぬいぐるみを奪い取り、割れ目に親指を差し込む。
そして背中をバリッと破いて開いた。
「うっ…くっさ……
……てかこれ……」
中に入っていたのは、
干からびた小さな子どもだった。
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面白いですね
せつないなぁ…
とりはだが立ちました
ひどいな