ベテラン刑事菅沼の胸糞事件ファイル
投稿者:ねこじろう (147)
「まず型通り女の名前と年齢、住所を聞いた。
住所は東京都S区内にある、有名な芸能人やスポーツ選手とかが住んでる高級住宅街の一軒家だ。
女はとある会社の社長のご主人と、彼の80歳の母親の3人で暮らしていた。
母親は認知症がかなり進んでいたようで通常なら特別な施設に入れてしかるべきような状態だったみたいだったにも関わらず、母子家庭だったご主人は母親に対しては並々ならぬ愛情を持っていたみたいで自宅で最後まで見とりたいと言ってたようだ。
でも実際は妻である女が全て世話をしていたみたいで、その心労は大変なものだったようだ。
女は訥々と語りだした。
『たった今ご飯食べたばかりなのにお腹空いたと言うのは日常茶飯事で、お義母さん、さっき食べたばかりじゃないのと言っても絶対に信用しません。
時計や財布を盗んだろ?と詰め寄られたこともあります。
また誰もいないところを指差してから、亡くなった主人がそこにいると懸命に訴えたりもしてました。
挙げ句は仏間奥の掛け軸の前にしゃがんでオシッコをすることもあって、後始末が大変でした。
あと深夜に外を徘徊して、探し回ることもたまにありましたね』
女は一度俯きまた顔を上げると、今度は真っ赤に充血した二つの目でこう言った。
『私、、私何度も何度ももう無理限界って主人に言いました。それなのにあの人はお前には親の尊さが分からないのか?と怒るんですよ』
そしてある晩、母親が外に出ていったきり翌日になっても帰って来ないとご主人から署に連絡が入ったんだ。
すぐに周辺の捜索と聞き込み捜査が始まった。
だが10日経っても母親は見つからない。
それでとうとうご主人は母親に対して高額な懸賞金までかけた。
そして母親の失踪から1ヶ月が経った頃、事件は急展開する。
女の自宅から北に10キロほどの山裾の県道沿いにある防犯カメラの分析から、母親はその路上で車に轢かれていたという事が分かった。
映像には運転手が母親を轢いた直後にぐったりなった彼女を引き摺って助手席に乗せ、そのまま走り去るところまで映っていた。
車のナンバーから運転手が特定されるのだが、それがなんと女だった」
「え?
でもどうして女は母親の行き先を知ってたんでしょうか?」
大島が質問する。
食べたとき気づきそうだけど、髪の毛を混ぜ込んだパスタは想像するだけでキモ。
面白かったです。
コメントありがとうございます━ねこじろう