S村からの電話
投稿者:ねこじろう (147)
太陽は既に西の彼方に移動しており、砂利道真ん中に立つ俺と村山さんの影も長く伸びていた。
『すごいところですね。まるで昔の時代劇の一場面みたいだ』
呆然としながら呟くと隣に立つ村山さんが頷き、
『本当に仲谷はこんなところに営業に行ったのかな?』と言った。
それから俺たちは手分けしてから何軒かの引き戸を叩き声を掛けてみる。
━ごめんくださ~い、、、
━誰かいませんか~?、、、
………
が、何の返事もない。
それから途方に暮れた俺たちがまた砂利道の真ん中に呆然として立っている時だった。
突然村山さんが『おい、何か話し声が聞こえないか?』と呟くと歩きだす。
慌てて彼の背中に従う俺。
そして村山さんはある家屋の前に立つと『仲谷!仲谷!いるのか~!?』と声をかける。
だが何の返事もない。
とうとう彼は引き戸の取っ手に手を掛けると、がらがらと開ける。
『仲谷、、、いるのか?』
呟きながら村山さんは恐る恐る薄暗い土間に足を踏み入れる。
カビ臭い匂いが二人の鼻腔を掠めた。
どこからだろう耳に聞き覚えのある若い男の声が聞こえてきている。
村山さんは奥にある座敷の上リ口まで歩くと、障子をガラリと開けた。
8帖ほどの居間らしきところには誰もいない。
真ん中には大きめのこたつが置かれ、壁際には茶箪笥や箱形のテレビ。テレビの横には台がありその上には黒電話。
黒光りする柱には古い振子時計がぶら下がっている。
まさに昭和の風情だった。
そしてさらに奥まったところには隣の部屋に続く襖があった。
村山さんは靴を脱ぐと『すみません、上がりますよ』と言って居間に上がる。
俺もあとに続いた。
その時には仲谷らしき男の声は二人の耳にはっきり聞こえてきていた。
━ほら~ばあちゃん、僕の言った通りでしょ、、、
『仲谷!』
怖かったですヽ༼⁰o⁰;༽ノ
お祓いしてもらえばいいのに。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう