S村からの電話
投稿者:ねこじろう (147)
「まあそうだろうな。
警察が捜査していく過程で、会社の詐欺的な営業内容がバレるかもしれないからな」
俺の言葉に田嶋は一つ大きく頷く。
そしてまた続けた。
※※※※※※※※※※
「そういうことで俺は初秋の頃の日曜日に、村山さんの自家用車で午後から一緒にS村に向かったんだ。
小一時間ほど走り続けた辺りで助手席に座る村山さんが
『恐らくこの辺りのようだな』
とデカイ地図帳を見ながら言う。
ハンドルを握る俺の視界には晴れ渡る秋空の下、広大な田園風景が広がっている。
その先に見える山裾の手前に、鬱蒼とした林に囲まれた古い木造家屋の一団が見え隠れしていた。
さらにしばらく農道を走っていると道は二股に分かれ、左手の道の脇に小さな地蔵が奉ってあった。
それは雑草に覆われた朽ちた首なし地蔵。
俺は一旦停車しそれを確認し、
『どうやらS村はこっちのようですね』と言って村山さんの顔を見た後、『課長、地図ではどうなってます?』と尋ねる。
村山さんは真剣な目でしばらく見ていたが、やがて顔をあげると『それがこの道から向こうは斜線が引かれているだけだ』と言って首をかしげた。
それでとりあえず仲谷の言ってた左手の道へと進む。
するとやがて道は林に阻まれ、それ以上は進入出来なくなった。
俺は道の端に車を停めると降りる。
━午後9時過ぎとかになると恐らくこの辺りは真っ暗になるだろうな。
仲谷はそんな状況で一人、村落に向かったんだろうか?
そんなことを思いながら村山さんと共に林に分け入った。
※※※※※※※※※※
しばらくすると視界が開け、道沿いに左右に建ち並ぶ村落が見えてくる。
まるで時代劇に出てくるようなぼろぼろの木造家屋が、未舗装の砂利道沿いに並んでいる。
怖かったですヽ༼⁰o⁰;༽ノ
お祓いしてもらえばいいのに。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう