崩れる霊
投稿者:実は怪廊 (1)
誰かが階段を昇りきったところで、また目が覚めた。
瞬間、金縛りにあう。
今度は誰かが、自分の部屋の方までゆっくりと歩いてくる。
また金縛りがとけて目が覚めた。今度は金縛りにならず、本当に目が覚めたのだとホッとした。
瞬間、自分の部屋のドアが開く。心臓が止まるかと思った。
その先にいたのは 母親。
夜中に母親が俺の部屋を訪れることなんて滅多にないものだから、どうしたのかと問いかけるも、母親は中々答えない。
改めて事情を聞くと、この家がおかしい。怖い。今日は家族皆んなで寝てほしいと話す。
今し方自分が経験したこともあり、部屋の外で話そうと廊下に出て今後のことを話していた。
ふと俺の部屋を振り返ると、廊下の明かりで薄暗くも部屋の様子を伺えるはずが、漆でも塗ったかのような漆黒に包まれた部屋がそこにあった。
また目が覚めた。正直混乱した。
なんだこれは?何が起こってる?どれが現実だ?
そんなことを考えている間も金縛りになっていた。
そうこう混乱している時、部屋のドアがゆっくりと音を立てて開き始めた。
俺はその時、今、ドアの向こう側にいるのは母親ではないことを確信していた。
混乱と焦りでいっぱいの中、少しずつドアは開いていく。
あの女だ。顔は相変わらず見えないが、あの女がそこに立っていた。
初めて会った時とは比較にならないほど、見窄らしい格好になって。
また…目が覚めた。
女は既に俺に馬乗りになり、俺の首を絞めている。
今までこの女に何度も首を絞められてきたが、今回は少し毛色が違う。
俺はこれまでにない展開に焦りと恐怖を感じつつも、身体が金縛りにかかっていないことに気がついた。
意識も朧げになってきて命の危険を感じ、俺は必死の抵抗で裏拳みたいな形で女の頬を全力で殴りつけた。
殴られた拍子に、女は横に倒れ込む。
俺はというと身体に力が入らず、寝たままの体勢で拳に体重をかけ、女が起き上がらないようにするのが精一杯だった。
女も起き上がれないのか俺の拳に噛みつき始める始末。
噛まれる痛みに堪えつつも、俺は徐々に身体に力がはいるようになり、女の口に拳を突っ込む形で体重をかけたその瞬間ーー、、
…ガコッと関節か何かが外れる音がして、俺は目を覚ました。
寝落ちしてしまった時の電気がついたままの部屋。
金縛りにはかかっていない。
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