かぷせるほてる
投稿者:ねこじろう (147)
午後7時を回っていたからか、ホテル近くのその居酒屋はスーツ姿のサラリーマンたちで混み合っていた。
さっきから俯いて押し黙る梶原にそう言うと、私はキンキンに冷えたビールジョッキを彼の目の前に置かれているジョッキにカチンと当てる。
梶原はメンタルが弱い方で、割と簡単にヘコむ。
些細なケアレスミスであってもだ。
その都度私は彼を慰めていた。
強く叱責はしなかった。
というのは最近の若い世代は少しでもパワハラめいたことをされると、すぐに会社を辞めてしまうからだ。
彼は異常なくらい責任感が強いのだが、それに対しての行動が伴っておらず、よくミスをする。
そしてその後の落ち込み方といったら半端ない。
特に最近の素行はおかしく、鬱ではないかと感じる場面もたまにあった。
例えば二人で得意先の応接室でそこの社長と話をしてる時のことなのだが、初めのうちはキチンと対応も出来ていたのだが、途中で急に静かになり不審に思って隣に視線をやると、なんと座ったまま目を瞑りイビキをかいていたのだ。
あとこれは二人で営業車で移動中のこと。
梶原がハンドルを握り虚ろな目で前方を見ながら、
「黒田さんもし僕が明日この地球から消え失せても、この世界も会社も誰も困らないですよね」と呟いていたこともあった。
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食事を終えホテルに戻ると私たちはロビーで翌日の朝の待ち合わせ時間と場所を決めると、それぞれ分かれた。
ホテルは10階建てで10階に大浴場が、6、7階がカプセルホテルのフロアで、私は6階で梶原は7階だった。
私はまずロッカールームで簡易な浴衣に着替えた。
それから大浴場に行き、ゆっくり湯船に浸かると、広い休憩所のリクライニングシートで雑誌を読みながら寛いでいた。
昼間の疲れからか、うとうとしだしたので、まだ10時過ぎくらいだったが明日も早いから私は早々とカプセルに向かった。
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カプセルは2段になっており、私は下の段だった。
カプセルホテルはその名の通り縦長の土管のようになっており、大人が一人寝転がれるくらいのスペースだ。
さすが、という内容でした。
面白かったです。
とく
お褒めの言葉、ありがとうございます
─ねこじろう
読みごたえ、ありました。
ありがとうございます
─ねこじろう
1ページ目の「そのビジネスホテルは駅のすぐそばだったから…」はカプセルホテルの間違いかと思います。
この話では駅前のビジネスホテルの一部フロアをカプセルとし、他のフロアは大浴場及びシングルダブルの一般のビジネスホテルフロアという設定にしたのですが。
━ねこじろう
「微唾みの泉」とは何でしょうか
知識不足ですいません..