うさみみポーズ

知人のヒトシから聞いた、今年の1月におきた話

中学校の同窓会で、久し振りに会った仲間との会合が楽しすぎて、別れるのが惜しくなった
それは全員同じだったようで、口々に寂しいと言い出した
それならばと、皆で遠回りして母校の前を通って帰ろう、ということになった

ほろ酔いの楽しい気分で歩いていると、母校が見えてきた
学校の正面側を歩きながら、昔話にふける
真夜中なので、当然、校舎は真っ暗だ

だが3階の一番右側の教室の窓に、男の上半身が浮かび上がるようにくっきり見えた
「「えっ！？」」
皆にも見えたようで、声が一斉に上がった

それはシワの深い60代くらいの男で、口をへの字にして、睨みつけるかのように真っ直ぐ前を見据えている
灰色の作業着や、短髪のゴマシオ頭なども、明瞭に見えた
それだけでも怖いのに、その男は変なポーズを取っていたという
両手のヒラを正面に向けて頭の上に乗せる、所謂、『うさみみポーズ』を取っていたそうだ

真剣な顔で『うさみみポーズ』を取り続けるオッサン…想像したら笑っちゃいそうだが、現物を見た当事者たちは それどころではない
一斉に走って逃げたそうだ

それから3ヶ月あまり経った、4月下旬の話

ヒトシの7才の末娘が、アニメの妖怪にはまっていて、よくお化けの絵を描いているそうだ

何となく娘の絵を見たら、あの時の男とよく似たものがあった
ゴマシオ頭でシワ深い、睨んでいるオッサン…

違うのは、自分が見たオッサンは『うさみみポーズ』を取っていたが、絵ではツノのように頭に直接、両手が生えていたという

怖くて、未だに娘に聞けないそうだ