テレフォンアポインター麗奈の悪夢
投稿者:ねこじろう (147)
天井に幾列か並んだ蛍光灯が白々と光を放っており室の壁沿いに事務机が数脚適当な間隔で置かれているだけで、他は何も置かれていない。
そして全ての机の上にはプッシュ式の電話機が設置してあり、既にその何台かからはコール音が鳴り響いていた。
麗奈らが入口前辺りで途方に暮れていると、突然頭上からまたあの男の声がする。
「それでは皆様、部屋の壁沿いに置かれた机のどれか一つの椅子にお座りください」
麗奈たちは適当に分かれると、各々椅子に腰かけた。
するとまたマイクの男の声が続く。
「現在深夜の零時五分です。
十分になったら仕事を始めてもらいますので、その前に仕事の内容を説明いたします。
既にいくつかの電話機から電話が鳴っておりますが、時間が来て自分の目の前の電話機が鳴っていたら受話器を取り対応をしていただきます。
受話器の向こうの方はいろいろな苦情を言ってくると思いますが、あなた方はそれに対して「それは大変でしたね」とか「お気の毒でした」とかなんでも結構ですから、何か同情するような言葉をかけてやってください。
とにかく相手の方に意見は述べずに、ただ同情するような言葉を言うだけで良いです。
そして深夜三時になりましたらまたこちらから合図しますので、それから以降は受話器を置いてそのまま待機しておいてください。
よろしいですか?
それでは零時十分になりましたら合図しますので、よろしくお願いいたします」
─え、これってどういうこと?
自社商品とかに対するクレーム対応みたいな?
などと訝し気に思いながらも麗奈は目の前にある電話機をじっと直視しながら、ただ合図を待っていた。
電話機からは最前からずっとコール音が鳴っている。
すると室内に無機質なブザー音が鳴り響く。
それから続く男の声。
「それでは始めて下さい」
麗奈も他の女性たちも一斉に受話器を手に取ると耳にあてた。
電話📞の相手は、誰だったのだろう。
(ꏿ﹏ꏿ;)