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意味怖(意味がわかると怖い話)

綿貫 一さんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

あの夏への扉
長編 2024/06/05 22:43 16,961view
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うまい棒、フルーツ餅、梅ジャム、粉末ジュース。
平台に所せましと並べられた、色とりどりの駄菓子たち。
壁には手作りグライダーキットや、パチンコ、花火などが掛けられていた。
お菓子と玩具に満たされた、子供にとっての夢の空間。
その主たる、店主の姿は見えなかった。

壁際にはアイスボックスが置かれていた。
私はガラスの扉を開けて、中を覗きこむ。
冷気が、顔と腕を叩く。

ガリガリくん、スイカバー、パピコ。

私は、もしかしてという淡い期待を胸に、ボックスの中を漁る。

と、家庭用ロックアイスの袋の陰に、それを発見した。

ラムネアイス。

中に小さなラムネ菓子が練り込まれていて、口の中でしゅわしゅわと弾ける。
ラムネ味の爽やかな甘みが、幼い頃から好きだった。
昔ながらのパッケージだ。

お目当てのものを手にとり、店の奥を覗く。
相変わらず人の気配がなかったので、仕方なしに声をかけてみた。
しばらくすると、奥からドタバタと騒がしい足音が聞こえ、子供が顔を出した。

「はーい、いらっしゃいませー」

肩までかかる黒髪、好奇心に溢れたくりくりした瞳、ノースリーブの白いワンピースを着た、小学3、4年生くらいの女の子。

「紗雪(さゆき)――?」

女の子はきょとんとした顔をする。

「――え? 誰? 私は希(のぞみ)だよ?」

私は、はっとして取り繕う。

「ごめん、君が昔の知り合いに似ていてね。
お店の子かな? これをください」

アイスの代金を手渡す。
硬貨を受け取ったのは、白くて小さく冷たい手のひらだった。

「おじさん、見かけない顔だね。
昔の知り合いーだなんて、ひょっとして私をナンパするつもりだったのー?
おじさん、ロリコンー?」

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コメント(1)
  • 【吉良吉影!雪女に会う~少年時代 特別編~①】
    何となくこれを思ったw

    2024/06/07/06:48

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