学校近くの廃墟にあった開かない金庫の話
投稿者:ねこじろう (147)
長編
2024/06/04
14:45
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そして
─ギッ、ギッ、ギッ、ギッ
信じられないことに鋼の扉がゆっくりと開き始めた。
彼の心臓は拍動を早めだす。
そして目を大きく見開き、じりじりと後ろに下がり始めた。
金庫の扉に僅かに出来た隙間。
そこからいきなり骨と皮だけの干からびた小さな手がスッと出てくると、男の子の掠れた声が微かにする。
「卓くん、、、
やっと来てくれたんだね」
「うわあああ!」
悲鳴を上げながら森本は部屋から廊下に飛び出る。
そして真っすぐに逃げ出そうと数歩進めた時だった。
彼は廊下途中の脆くなった箇所に足を踏みこんでしまい、そのまま真っ逆さまに一回の大理石の床に落ちていった。
そして激しく後頭部を固い床にぶつけてしまうと、そのまま意識を失う。
※※※※※※※※※※
・
・
生暖かい何かが耳や首筋に触れた感触で、森本は目を開けた。
どうやら頭の後ろあたりからかなりの出血があるようだ。
ズキンズキンとした激しい頭部の痛みが続くとともに、少しづつ目の前に白い霧がかかってくる。
-あ、死ぬかも……。
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