と訴えるように叫び席を離れドアを乱暴に開くと、医師の制止する声も無視して部屋を出て行った。
※※※※※※※※※※
病院からの帰りの車の中。
ハンドルを操作しながら玲子は声を出し泣いていた。
隣の車線を走る車の人が気が付くほどに。
一頻り泣きはらした彼女の脳裏に一月前の記憶が甦る。
それは自治会長の家を訪ねた時に彼が言った言葉。
「息子さんは先天的に筋肉が萎縮していくという難病を抱えていて、まともに学校にも行かせてもらえず母親が自宅で療養看護されてたようです」
「まさか、、、そんな、、令和の時代にそんなことが、、、」
信号待ちをしていた彼女は一人呟くとハンドルに顔を突っ伏した。
しばらくそうしているとパアンと背後からクラクションの音がする。
驚き前を見ると対面する信号は青。
慌ててサイドブレーキを外しアクセルを踏みながら、なにげにルームミラーに視線をやった時だ。
玲子は一瞬で全身が総毛だつ。
ミラーに映っているのは後部座席。
そこには白いオカメの顔をした割烹着姿の女が座り、嬉しそうに微笑んでいた。
【了】
前のページ
9/9
この話は怖かったですか?
怖いに投票する 52票


























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。