夕方ごろからパタパタとお客様が続いてからそれからは客足が途絶え、ようやく落ち着いた午後9時頃のことだ。
私は奥の棚のところで片付けをしていたんだ。
そしたら突然店内にチャイムが鳴り響いたかと思うと、キャスターの車輪が軋むような音が続いた。
見ると30くらいの白いブラウスの女の人が乳母車を押しながら歩いている。
それで再び作業を続けていると、いきなり背後から「あ、、の、、」というか細い声がした。
振り向くとその女の人が立っていて「赤ちゃんの離乳食はありますか?」と尋ねてくるんだ。
それで書籍棚の前の棚にありますよって教えると女の人は軽く頭を下げて乳母車を押しながらそっちに歩いていったんだ。
だがその直後に、いや、あの商品はあそこではなかったと気付いたから女の人に教えてあげようと思って手を止めた時、いきなりガシャ-ンドカーンって物凄い破裂音が地響きを伴って店内に鳴り響いた。
驚いて振り向き視線をやると、書籍コーナーの辺りに何故かピンクの車の後ろ側だけが見えていて白い煙が立ち上っている。
何事か?と慌ててそっちに走るとそこはそれはもう酷い惨状になっていた。
ピンクの箱型軽のワゴン車がバックのままガラスを突き破り書籍ラックをなぎ倒し、さらに前の商品棚に衝突して止まっていたんだ。
床にはガラスの破片やたくさんの本そして様々な商品があちこち散乱していた。
運転席を覗くと、ロングの茶髪をソバージュにした中年の女がハンドルに突っ伏して『チキショーバカやろう』と繰り返している。
額からは出血があった。
それで救急車を呼ぼうと携帯を取り出した時だ。
─た、、たすけ、、、
どこからか微かに女の人のか細い呻き声が聞こえる。
どこだ?と声の出所を探すと、それはちょうど車の後部が衝突している棚の辺りからだった。
恐る恐るそこを見て私は全身が総毛だつ。
あの女の人が乳母車もろとも棚と車の間に挟まっていたんだよ、、、」
ここで一旦話を終えた山田さんは俯き両手で頭を抱えると
「あの時、、あの時、、私が彼女に正しい商品の位置を伝えてあげていたら、あの人は、あの女の人は、、」と呟き肩を震わせながら嗚咽をあげだした。
小西は山田さんの背中にそっと手を乗せると「オーナーあなたが悪いんじゃないです。悪いのは車で店に突っ込んだ中年女です。だからあまり気に病まないでくださいよ。ただ酷い話ですね。その女の人は結局亡くなられたんですか?」と尋ねる。
山田さんはこくりと頷くと、泣き顔のまままた続けた。
「母子ともにな。
母親は左半身の顔や臓器や手足に酷いケガをしていたみたいで、その後病院で亡くなったんだ。赤ちゃんも。後から警察の人から聞いたんだが、うちで酒を買った中年女がアクセルとブレーキ踏み間違えてからバックで店のウインドウに勢いよく突っ込んだみたいだ。

























幻覚を見ているんじゃないか
コメントありがとうございます
─ねこじろう
応援してます。
ありがとうございます
─ねこじろう
こっわ!!??
いつも応援しています。
最後に死ね死ね言って引きに来た人だれ?
皆様、コメントに応援をありがとうございます。またご質問ですが、
コンビニ配送のお兄さんが朝、暴走してコンビニ店舗正面ウインドウに突っ込んで、そのままオーナーもろとも棚の間に挟んでアクセルを踏みながら「死ね死ね」と呟いていたのです。
いつの間にか引き込まれて読んでた コンビニの制服姿の幽霊は少しシュールで面白いけど
実質これがグランプリですね。
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
実質も何も準大賞ですよw
次は大賞とれるといいですね。
「書籍棚背後にあるショーウィンドウ」とはいったい? なにか飾ってある場所があるのか、どういうつくりのお店なのかわかりませんでした
コメントありがとうございます。
─ねこじろう
こういう話は怖いよりムカつくが先に来ちゃうな。恨むなら本人だけでいい、店長は違うだろ。そして他人の手を借りず自分の力だけで復讐しろよ!巻き込まれて呪いの道具にされた運転手が気の毒過ぎ。
真後ろに来たというのがすごく怖い
怖い
呪いとか恨みとか
そういうのって連鎖するんだね
幽霊が実在するかどうか
それを論点から外したとしても
人の恨みとかって言うのは
怨念として残るとしたら
こういう不思議な事故の連鎖が起きるのもおかしなことでは無いのかもしれない
すごく怖いですね