そんなはずは・・
しかし、彼女の行動におかしな点があるのは確かだ
「にわかには信じられません。だいたい、なんでそんなことを?」
「そうですね。問題はそこです。何故そんなことをしたのか。そこで先程、鍵になるといったベビーチェアが重要になってきます。ベビーチェアが届けられることがすべての発端だったんです。ベビーチェアが届けられるから心霊騒ぎを起こしたんですよ」
意味がわからなかった
どういうことなんだ
固まっている俺を見て、男はにこりと笑顔を見せた
「ところで、うちは身辺調査もやっているのですが利用してはみませんか? その奥様に対して」
結論として俺の妻は浮気をしていた
子持ちのシングルファーザーとだ
去年の同窓会で知り合い、仲良くなったらしい
「その男性には5歳の男の子がいるようです。最初は純粋に仕事と子育てで忙しい元クラスメイトを手助けするため、奥様はその人と関わっていたようです。それがその内、お互いに意識し合う仲になった、ということみたいですね」
あれから一か月後
俺と立花さんはまたファミレスに来ていた
妻の浮気調査の報告を聞くためだ
机にはその男の写真がある
低身長な俺とは違い、高身長でイケメンの男が5歳とは思えない大きなお子さんを抱いている
「奥様はその男としょっちゅう会っていた。そのお子さんと一緒にです。かなり親密にされていたそうです。一緒にお出掛けもしていた。そこを・・・」
「上司が見かけたということか」
「ええ。それどころか写真まで撮られたそうです。あまりに微笑ましい光景だったからつい撮ってしまったということだったらしいですが、その行為が奥様を追い詰めることとなった」
いわば、浮気の決定的瞬間を押さえられてしまったわけだからな
「それだけならばまだその上司さんを貴方に会わせなければいいのですが、さらに困ったことにベビーチェアを家に送りたいと言ってきた。奥様はどうにか直接受け取ろうとしたようですが、大きなものだから家に送るといって聞かなかった。変に断ると怪しまれると思って断りきれなかったようです。奥様は悩んだ。そのベビーチェアがいつ届くかわからない。貴方がいない時に荷物が届けばいいのですが、テレワークをしている貴方の方が家にいることが多いのでそれも期待できない」
「そこで考えたのが心霊騒ぎということか」
「ええ。そのベビーチェアが届く前に、見覚えのない子供向けの物が出てくるという心霊現象が起きていると騒ぐ。そうすれば、上司さんからのベビーチェアもその心霊現象だと言うことができますからね。そして、上司さんに電話して子供を見たという言葉を引き出して、それは幽霊だと騒ぐ。これですべてを心霊現象ということにできます。木を隠すなら森の中。今回の場合は木が届くから急いで森を作ったという話になりますかね」
「それが今回の騒動の真相。なんとも・・・浅はかなものだ。正直、失望しましたよ」
俺は深いため息を吐いた
「それだけ焦っていたのでしょうね。いきなり奥様の上司さんからベビーチェアなんて送られてきたら、どういうことか確認しようとしますからね。それで上司さんと貴方が接触したらおしまいです。上司さんが見かけた微笑ましい光景が浮気中の行動だったとバレてしまいますから」
「・・・私が彼女に失望したのは浮気をしたことじゃないんです。浮気を隠すために子供を利用したことなんです。実際に私たちには授かるはずだった子がいた。残念ながらそれは叶いませんでしたが、彼女は授かるはずだった子を勝手に幽霊にして自分のやらかしたことを隠そうとしたんです。許せることじゃないですよ」
























事実は小説より奇なり、ですね。
うわっ\(>_<)/
心霊騒ぎと思ったら奥様の浮気でした…からのどんでん返し。
最後に残った謎は、奥さんはベビーカーと5歳児の矛盾を理解していたのか(怖)。
人間が一番恐ろしい
めっちゃ面白いです!