いちにち、いちみり
投稿者:太山みせる (35)
(男の人形だ、随分と精巧に作られているな)
思わず野村は感心した
小学生の娘たちも、たくさん人形を持っている
その中には少年の人形もいくつかある
だがここにあるのは、若い男の人形ではなく中年男のそれだった
髪は前の方から頭頂部にかけて禿げている
顔は弛みシワもある
肌は不健康な感じの嫌な白さをしている
それでも鼻筋は通り、目は大きく、まつ毛は長い
まるで、かつては美少年だったという設定の人形のようだ
そんなのに需要があるのかと野村が凝視していると、ふいに気配に気がついたような感じで、その人形がこちらに首を向けた
「!!!」
驚いた野村をよそに、吉見は平然と、
「色坂、帰ったよ」
と人形に挨拶をした
「おい吉見、まさか本当に……」
人形は、確かに色坂の面影があった
※※
「済まない吉見、あまりにも荒唐無稽な話で、実物を見るまでは疑っていた」
「気にするな野村、そりゃそうだろう」
吉見が野村を連れて来たいきさつを聞きながら、色坂は下を向いて泣いていた
声帯も小さいのか泣き声も小さい
野村はホラーに詳しくないが、《呪い》が存在したとしても、こんなに体が変わるなんて考えられなかった
野村は色坂を見下ろした
「お前は呪いを掛けられたそうだが、誰の呪いだ?」
「……分からない」
「そうか、たくさんの人に恨まれて検討つかないか。悪いことをし過ぎたな」
「……俺はこのまま、どうなるんだろう?」
「まずは反省して、逮捕されて罪を償うんだ」
そうは言っても、こんな姿の色坂を連行したらどうなるんだろう
せめて1メートルはあって欲しかった
ひきこまれた。
引き込まれました。
10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!
面白かった。展開がハラハラする。
すごかった。
投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
吉見さんに幸あれ!