奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

太山みせるさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

いちにち、いちみり
長編 2024/04/09 22:42 22,252view
6

「……最初に異変に気づいたのは監視役の男だ。オレは毎日見てるから気がつかなかった。彼はオレに言った。『色坂、小さくなってないか?』と」

吉見は続けた
「まだ30代だし、いくら何でも背が縮むのは早いだろうと、その時は笑ったんだ。その次の日くらいかな、色坂の手の指がやけに細いことに気がついたのは…」

(えらく奇妙な話になってきたな)、野村は心の中で思った

「色坂は小柄だが、男だ。じっくり見たことはないが、手はそれなりにゴツいはずだ。だが気がついた時、あいつの指は箸の1本ぶんくらいの細さしかなかった」
「どういうことだ?」
「1日1ミリずつ背が縮み、それに伴い体が細くなっていったら……」
「えっ?えっ?」
野村は思考が追いつけなかった
「1日1ミリなら、1ヶ月では?」

「待て待て待て…」
「野村、1日1ミリで1ヶ月経ったら?」
「あ、30ミリだ」
喘ぐように言った
そんな野村に構わず、吉見はさらに、
「では1年では?」
と聞いてきた
「1年だと!365ミリ、約36センチだ。年寄りでもそんなに背が縮むことはないだろう!おい、変なこと言うなよ」
野村はバカにされているのかと思った

だが吉見は、真剣な目で見つめてきた

「よく聞け野村、これは3年以上前の話だ」

※※※

その後、まずは見てくれと吉見は野村を住まいに案内した

こんな簡単に逃走犯の居場所が分かってしまうとはと、野村は複雑な気持ちになったが、まずは吉見の話の真偽を確かめなければならない

2人が住むというマンションは、外観も内観も大層お洒落で綺麗だった
そのマンションの最上階に、色坂の隠れ家がある

2人の家に入り、その中のひとつの部屋の前まで来て、吉見は薄くドアを開けた
中から光と、テレビの音らしきものが漏れてきた

吉見から、そうっと見ろと指示をされて覗いた
左側にテレビがあって、真ん中にテーブル、右側にソファーがある
ソファーの上に、30センチくらいの何かが置いてあった

6/10
コメント(6)
  • ひきこまれた。

    2024/04/10/08:52
  • 引き込まれました。

    2024/04/10/20:51
  • 10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!

    2024/04/13/19:17
  • 面白かった。展開がハラハラする。

    2024/04/19/09:19
  • すごかった。

    2024/09/10/17:32
  • 投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
    吉見さんに幸あれ!

    2024/10/06/10:11

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。