いちにち、いちみり
投稿者:太山みせる (35)
「……最初に異変に気づいたのは監視役の男だ。オレは毎日見てるから気がつかなかった。彼はオレに言った。『色坂、小さくなってないか?』と」
吉見は続けた
「まだ30代だし、いくら何でも背が縮むのは早いだろうと、その時は笑ったんだ。その次の日くらいかな、色坂の手の指がやけに細いことに気がついたのは…」
(えらく奇妙な話になってきたな)、野村は心の中で思った
「色坂は小柄だが、男だ。じっくり見たことはないが、手はそれなりにゴツいはずだ。だが気がついた時、あいつの指は箸の1本ぶんくらいの細さしかなかった」
「どういうことだ?」
「1日1ミリずつ背が縮み、それに伴い体が細くなっていったら……」
「えっ?えっ?」
野村は思考が追いつけなかった
「1日1ミリなら、1ヶ月では?」
「待て待て待て…」
「野村、1日1ミリで1ヶ月経ったら?」
「あ、30ミリだ」
喘ぐように言った
そんな野村に構わず、吉見はさらに、
「では1年では?」
と聞いてきた
「1年だと!365ミリ、約36センチだ。年寄りでもそんなに背が縮むことはないだろう!おい、変なこと言うなよ」
野村はバカにされているのかと思った
だが吉見は、真剣な目で見つめてきた
「よく聞け野村、これは3年以上前の話だ」
※※※
その後、まずは見てくれと吉見は野村を住まいに案内した
こんな簡単に逃走犯の居場所が分かってしまうとはと、野村は複雑な気持ちになったが、まずは吉見の話の真偽を確かめなければならない
2人が住むというマンションは、外観も内観も大層お洒落で綺麗だった
そのマンションの最上階に、色坂の隠れ家がある
2人の家に入り、その中のひとつの部屋の前まで来て、吉見は薄くドアを開けた
中から光と、テレビの音らしきものが漏れてきた
吉見から、そうっと見ろと指示をされて覗いた
左側にテレビがあって、真ん中にテーブル、右側にソファーがある
ソファーの上に、30センチくらいの何かが置いてあった
ひきこまれた。
引き込まれました。
10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!
面白かった。展開がハラハラする。
すごかった。
投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
吉見さんに幸あれ!