いちにち、いちみり
投稿者:太山みせる (35)
歩きながら、野村は中学時代を回想した
2年生と3年生の時は楽しくなかった
何故なら2年続けて嫌な奴と同じクラスだったからだ
色坂(いろさか)……思い出すと今でもウンザリする
※
彼を思い起こすのにまず浮かぶのは、完璧に整っていたそのルックスだ
男にしては小柄だが、小さな顔は絵に描いたように綺麗で人目を引いた
顔を見に他校の生徒もよく押しかけてくる程だった
家が大金持ちで、勉強もスポーツもできてマルチに活躍していた色坂は、何故か性格は捻じ曲がっていた
何の不自由もないだろうに不良グループに入って、いつも威張っていた
そんな奴なのに不思議とカリスマ性があり、また人の懐に入るのも上手かった
先生や先輩からも可愛がられ、何かやらかしても大抵のことは彼らが庇ったり、大金持ちの親が金の力で黙らせていた
背が低いのをコンプレックスに思っていたようで、それを埋めるかのように、身長が高い不良仲間を侍らせていた
子分を従えていつも皆の中心にいる色坂は、悪い事は格好良いと思い込んでいた一部の生徒からは、絶大な人気があった
そういった連中に憧れの目で見られ調子に乗った色坂は、自分は何をしても良い人間だと勘違いをしたようだ
彼は自分の気に入らない者に容赦がなかった
仲間に暴力を振らせたり、虐めさせたりした
それがバレても色坂自体はやっていないので、彼へのお咎めはなかった
代わりにやった奴らが怒られたが、異常な程に色坂に尽くす彼らは気にしていないようだった
色坂の圧倒的なカリスマ性と、彼が何かにつけて払ってくれる大金に誘惑されたのだろう
野村は中学の頃からガタイが良く、彼もまたスポーツや勉強で活躍していた
そんな野村に、色坂は近づいてきた
中学2年生で既に180センチを越える長身で格闘技経験もある野村を、友達という名の部下にして、自身に貫禄をつけるつもりだったのだろう
だが色坂の度重なる悪事を知っていた野村は、彼に全くなびかなかった
それからが面倒だった
事あるごとに色坂は野村に突っかかって来た
自分の部下たちに集団で襲わせたり、嘘や盗みの冤罪をかけてきた
毎回色々と庇ってくれたのは、色坂の親友である吉見であった
吉見は野村だけでなく、色坂が誰かに害をなそうとすると、それを宥めたり止めようとした
ひきこまれた。
引き込まれました。
10ページもあったかと思うほどあっという間に読んでしまいました!怖かったです!
面白かった。展開がハラハラする。
すごかった。
投票はしましたが怖かったより面白かった、「せめて1m〜」のくだりで不覚にも笑っちゃいました。
吉見さんに幸あれ!