深夜の乗客
投稿者:綿貫 一 (31)
短編
2024/04/08
09:34
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(さてと、戻るかな)
そう思いながら、何気なくバックミラーを覗きこむ。
先ほどの女がいた。
後部座席に座ったまま、突っ伏している。
(そんな馬鹿な! たった今、出ていったはずなのに――!)
振り返って見ると、それは確かに、先ほどの女だった。
女はぴくりとも動かない。
いや、それどころか、肩が上下しているようにも見えない。
Aさんの顔から、みるみる血の気が引いていった。
彼は慌てて車から降りると、先ほど女が消えていった方に目をやった。
そして深夜、近所迷惑になることを承知で、大声で叫んだ。
「お客さーん! 忘れ物! 忘れ物ーーー!!!!」
〈了〉
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オチがいい。面白かったです。
綿貫です。
おあとがよろしいようで。
たましい忘れてますよーww
いや、からだを忘れていったのでは?
わたしは体だと思います。