俺は病院に行きたい
投稿者:八尺マン (46)
ある日の休日、職場の同僚から電話がかかってきた
「おう。今日、お前、○○にいたろ? 歩いているところ見かけたから声掛けたんだけど、気付かなかったか?」
何のことかわからなかったので詳しく聞いてみると、飲みの帰りに一人で繁華街を歩く俺を見かけたので声を掛けたが、どんどん進んでいてしまって途中で見失って
しまったという
「お前も見間違えたのか。違う違う。それは俺じゃないよ。後ろ姿はそっくりかもしれないけど、顔は全然違うから」
俺はそう説明したが、その友達は
「いや、顔もお前だったよ。横顔はちゃんと見えたんだ」
という言ってきた
顔も同じ? それはどういうことだろう?
俺はさらに聞いた
そいつはどんな顔だったか?
すると、同僚はあのカフェにいた男の特徴を話し始めた
目はたれ目で鼻は団子鼻
頬はふっくらと膨らんでいて唇はだいぶ厚い
俺の顔とはほど遠い
「いや、それは俺の顔じゃないだろが。全然違う」
「いやいや、お前の顔そのものだろ」
なんだか話がかみ合わない
俺はなんだか怖くなって、電話を切った
なんなんだ? 何か変だ
まるであのカフェにいた男が俺だと言っているみたいだ
いや、それは違う
俺の顔はあんなんじゃない
俺は洗面所に行って鏡を見てみた
鏡に映ったのは俺の知る顔ではなかった
あのカフェにいた男の顔があった
俺はあの男になっていた
俺は叫んだ
叫んで叫んで気が付いたら鏡が割れていた
手を見ると鏡の破片が刺さって血が流れていた
どうやら俺が鏡を殴って割ったらしい
何がどうなっている?
俺の顔が他人になっている?
おかしいおかしいおかしい
俺はこんな顔じゃない
俺は恐る恐る割れた鏡に自分を映してみた
やはりカフェにいた男の顔になっている
俺は破片を放り投げた
違う違う違う
こんな顔じゃない
俺の顔は・・・
誰だったのでしょう
面白かった。ハラハラした。