欺瞞に満ちた家族
投稿者:とくのしん (65)
担当刑事さんが続いて質問してきた。
「みんながいなくなった日、私はお母さんだけじゃなくてお父さんやお姉ちゃんにも電話しました。でも誰にも繋がらなかったし、かかってくることも無かったです。今はかけても現在使われておりませんというアナウンスが流れるだけです」
私の返答を聞いて担当刑事さんは少し落胆した表情を見せた。
私はみんながいなくなった次の日に、警察へ赴いた。
結局、母も父も姉も祖父も誰一人として戻ってくることはなかった。急にいなくなったことを私は包み隠さず全てを話した。でも刑事さんが満足するような話は何一つないのであろう。それでも警察は家族だった4人を全力で探すと約束してくれた。
あれから20数年が経った。あの家族だった人たちは誰一人として見つからなかった。その後分かったことは、私が2歳の頃に焼けた実家に転居してきたことだ。それまでは東北地方に住んでいたことがわかっている。生まれ故郷に親類はいたが、当時から付き合いはあまりなく転居してからは全くの音信不通だったそうだ。そしてそれ以上何もわからなかったという。
あの日、みんなが忽然と姿を消すまでは本当に普通の家族だった。
父は普通に会社勤めしていた。管理職として部下からの信頼も厚く、上司からの評価も良かったそうだ。姉も語学を活かし、貿易関係の仕事をしていた。母は専業主婦であったが、近所の評判も上々、祖父に関しては行きつけのパチンコ屋の常連だったということがわかっている。
刑事さんは言った。
「調べれば調べる程、本当にあなた方はごくありふれた家庭でした。だからこそこの事件は謎が多すぎる。
調べてみましたがあなたの“本当の家族”もごく普通の家庭だったようです。特に裕福だったわけでもない、トラブルを抱えていたわけでもない事件に巻き込まれるような家庭ではなかった。もし彼らが“本当の家族”に手をかけたとするならば、なぜあなた一人だけを生かしたのか?また、なぜあなたを連れて家族を演じていたのかがわからない。20年近くも別人に成りすまして“偽りの家族”を演じ続けていたのかが理解できないんです。
そして放火もあの4人の仕業だったとするならば、なぜ今更に事件が明るみになるような真似をしたのかわからない。それ以前に彼らがどこの誰ということすらわかっていないんです。本当に全てが不可解、こんな事件は初めてです」
これを書き残そうと思ったのは、最近動画サイトである昔のテレビ番組を目にしたことがきっかけである。
「世にも奇妙な物語 にぎやかな食卓」
この作品を見たとき、私の話かと思うくらい衝撃を受けた。あの話は、最後に自身の家族がレンタル家族という事実を知り、契約満了と共に家族が立ち去っていくという話。
私も同じだ。どこの誰だかわからない人たちが、ある日を境に私の“家族”になっていた。私には“本当の家族”の記憶はない。“偽り”とされたあの人たちとの思い出だけが残されているだけだ。
それでも私は“本当の家族はあの人たちだけ”だと声を大にして言いたい。
刑事さんが何と言おうと私にとっての家族はあの人たちだけなんだと。
私は今、新しい家族と暮らしている。
天涯孤独となった私だが、10年前に結婚した。どこの誰だかわからないこんな私を大事にしてくれる夫がいる。
そして5歳になる1人娘がいる。新しい家族に囲まれて私は本当に幸せだ。
こんなに幸せでいいのだろうかと思うくらい幸せだ。
私や娘を心から愛してくれる夫がいる。
お腹を痛めて産んだ可愛い娘がいる。
でもね・・・
そんな幸せな家族ですら、偽りではないかと疑ってしまう自分がいる。
背乗りだったんだろうか
チートしてんねぇ。
たくさんの投票ありがとうございました。
動画にしてくれた方や、朗読していただいた方々に感謝です。
とくのしん
怖くはない面白い作品でした
なんか主人公がメッチャかわいそう。これは永遠に救われないな。。。
まぁ背乗りでいいんかね。
朝鮮スパイが日本人家族(学会の信者とか?)に「金出すから引っ越しすべき」とアドバイス。引越当日に父母姉を殺害。妹は物心ついてないからそのまま引取。遺体は引っ越し先の床下埋めた。
上から「処理したい死体があと2体あるからついでに埋めて」と指示あり。
こんな所?