楽しい夢
投稿者:八尺マン (46)
それが家族で海外旅行だなんて、非現実極まりなかった
友達は急にそんな夢を見るようになって、気になって仕方ないようだった
だが、俺からすればいい歳して何をくだらないことを気にしてるんだ、というのが正直な感想だった
しょせんはたかが夢だ
自分が殺される夢を連続で見るとかなら、まあ、怖くなるのはわかるが、家族で楽しく食事するを連続で見て、それで何が問題だというのか
俺は適当に、心配し過ぎだ、無意識に家族との団らんを望んでいるじゃないか、と言っておいた
それから一か月くらいして、また友達から連絡がきた
「ちょっと大変なことになったんだ」
そいつの顔は青ざめていた
「実は俺のおふくろが近所のスーパーの懸賞で一等を当てたんだ。それはよかったんだけど、その賞品がこれなんだ」
友達は一枚のチラシを机の上に出した
懸賞のチラシのようだった
一等は海外旅行と、デカデカと書かれている
「これがなんだっていうんだ? 海外旅行が当たっておめでたいことじゃないか」
「そうじゃないんだ! この海外旅行が問題なんだよ!」
友達はチラシを裏にした
一等賞品である海外旅行の詳細が書かれいている
東南アジアに3泊4日で行けるらしい
楽しげに食事をする男女の写真が載っていた
「これ! この写真のレストラン! 俺が最近見る夢にそっくりなんだ!」
「えっ!?」
俺は改めて写真を見てみた
どうやら写真はタイにある有名なレストランで撮ったものらしい
白いテーブルにタイ料理と思われる料理が置かれている。楽しく食事をする男女の横には店員と思われる男がいて、シャンパンを持っている。頭上には豪華なシャンデリアがあり、男女の奥にはステージらしきものがあり、綺麗な女性がマイクを持って歌っているようだった
確かに、ここ最近友達から聞かされていた夢にそっくりのようだった
「すごいな! まんまじゃないか! これって正夢なんじゃないか いや、夢を見たから現実がそうなったのかもな」
俺はこの偶然にちょっとテンションが上がった
しかし、友人は首を大きくふった
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