【あの頃の怪談①】1999年
投稿者:綿貫 一 (31)
短編
2024/02/02
22:13
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例えば、俺が晩飯に何を食うか迷った時、「ココイチでカレーを食べる世界線」と「家系ラーメンを食べる世界線」は平行して存在している。
可能性の数だけ、「そうなった場合の世界」がある、ってことだ。
でさ。
もしかしたら俺はあの夜、「予言が的中した世界線」から「予言が外れた世界線」に移動したんじゃないかなって、想像してみるわけだ。
1999年7月。
あの時は、「予言が外れた世界線」と「予言が的中した世界線」との、分岐点だったんじゃないか?
「予言が的中した世界線」では、空から降ってきた恐怖の大王によって、人類は滅亡したのかもしれない。
そして、その世界線を回避した俺たちは、今こうして、ここにいる――なんてさ。
おかしいと思うかい――?
俺もそう思うよ。
でもさ。
俺以外にも、実はけっこういるんじゃないか?
こんな記憶、こんな感覚を持っている奴。
もし、そんな奴とどこかで出会えたら、酒でも呑みながら語り合いたいな。
今となってはわからない、あの頃の怪談話を。
〈了〉
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綿貫です。
それでは、こんな噺を。