田舎暮らしをしていたウチの爺さんが畑で死んで、一家の長男でもある自分にもその爺さんの遺産が転がってくることになった。ラッキーってやつだ。
相続したオンボロ古民家なんて、すぐにでも取り壊して更地にしようかとも思ったのだが、あそこは山も近くて冬にはちょっとしたスキーリゾートになる。古民家を改造してゲストハウスとか民泊のようにすれば外国人観光客にウケるかもしれない。
さっそく500万円ほどかけてリフォームをすることにした。
畑はつぶして駐車場にする。・・・が、ここからおかしなトラブルが起き始めた。
畑の隅、ちょうど道路との境あたりに石で作られた古い祠があり、道祖神のようなものが祀られている。それを見た業者が「祟られるので取り壊しはできない」と言ってきたのだ。
すぐに別の業者を探して「あれはもう神社にご祈祷してもらったから大丈夫」と嘘をついて頼んでみると、業者が運んで来た小型のユンボが、社長を乗せたまま横転。ユンボはどこかがひん曲がるわ、社長はどこかを骨折したとかで、やっぱりやめさせてくださいと泣きを入れてきた。
そうだ、アイツに相談してみよう。アイツとは、高校時代の悪仲間だったTのことだ。
あいつなら度胸も据わってるし、警察も幽霊も屁とも思っていない頼もしいやつだ。
Tは今では工務店の社長だというし、これはもう今回の依頼に最適じゃあないか。
Tはガハハと笑い飛ばし、この仕事を引き受けてくれた。
深夜まで飲んだオレたちは、酔った勢いそのままに、Tの業務用のバンに乗って例の畑までやって来た。ライトに照らし出される石の祠。
おもむろにバンの後ろから大きなハンマーを取り出したかと思うと、Tは祠の前に立ち
「オラァよーく見とけよ」と、大きくふりかぶってハンマーを祠に叩きつけた。
にぶい音と共に崩れ落ちる祠。そして中から現れる頭が二つある道祖神。
今度は横から大きくふりかぶったと思ったら、道祖神の二つの頭が遠くまで吹き飛んでいくのが見えた。「いゃっほぉぉぉぉぉぉい!!」二人で叫んだ。
・・・結局Tのおかげで駐車場は完成したのだが、お金はまだ払っていない。
いや、たぶんもう払わなくて良い気がする・・・。
駐車場ができあがってから少しして、Tの住宅兼事務所から火が出て全焼。
・・・Tも、Tのカミさんも、10歳になる息子も、みんな亡くなってしまった。
リフォーム中だったオレのぼろ古民家も、なぜか同じ日に燃えてしまった。
しょうがない・・・この土地、外国人の金持ちに売り付けちまおう・・・。
kanaです。サッカーオーストラリアvsインドネシアのハーフタイム中に投稿!
今回のお話は過去作の3ページ物の「爺さんの遺産」を1ページに短縮したものとなります。
おもしろかったらぜひ長い方も読んでみてください。内容がもっとエグイ感じになっています。