屋根裏の蛇女
投稿者:太山みせる (36)
清美の実家は某地方の田舎にある
家族は祖父母と両親、兄と姉の7人で、家は平屋で古く、大きくてとても頑丈だ
中学生のある日、翌日が休みだからと夜遅くまでゲームをしていると、天井の上をズルッズルッと大きな何かが這う音がした
蛇が屋根裏に入ったのかと思ったが、音の様子から、人間並みの太さのモノが這っているような感じがした
日本にそんな太い蛇はいない
とすると……お化けだ!
清美は怖くて、その夜は眠れなかった
翌朝、家族にそのことを伝えると、
「そうかお前もとうとう、この家の秘密を知ったか!」
と全員にニヤニヤされた
「どんな秘密よ?私以外は知っているの?何なのあれは?」
そんな清美に父親は、
「この家はな、時々屋根裏を這うモノが出るんだ。でも大丈夫、怖くはないよ。何故ならそれは、ご先祖様だからだ」
と、したり顔で言った
「何でご先祖様が這い回るの?そんなのおかしいじゃん、幽霊だとしても何で歩かないで這うのよ?」
「清美よ、屋根裏を歩く者がいれば、それは泥棒だぞ。生きている悪い奴だぞ。そっちの方が遥かに怖い。天井から音がしても、這っていたらご先祖様だから安心しなさい」
そんなことを言われても納得できない
兄や姉に聞いたら、2人とも数年前に初めて這う音を聞いた時は、清美と同じように怖かったと言っていた
子供たちには極力怖がらせないよう、気がつくまでは言わないことにしていたらしい
流石に祖母や母には、ちゃんと嫁ぐ前に説明をしたという
「ところで、どんなご先祖様なのよ?」
清美の疑問に、祖父が応えてくれた
※※※
清美の祖父の父、つまり清美の曾祖父が、まだ若かった頃の話だ
曾祖父には千代という姉がいた
千代は大変美しく、優しくて大人しい娘だった
隣村の男に熱心に口説かれて嫁に行ったが、
「こんな気持ちが悪い女は要らない」
と2年後に送り返されてしまった
家族はそんな彼女を憐れんで優しくしたが、千代の奇行の凄まじさには驚きを隠せなかった
kanaです。待ってました!!太山さん!!
文書力が凄い。
面白かったです。
怖いというより、面白い。ラストがね。
有難うございますm(_ _)m
今年も宜しくお願い致します
悲しい物語であり、暖かい物語でもある。
ありがとうございます。